第31話

朝、と言っても10時にのんびりと起床する。

起きて汚くてしょうがない母屋に行くと台所に祖母がいるかいないか。

中学1年の最後の頃までは叩くなり暴言なり、いつものように絡まれていたがもう中学生だ、私の身長は160㎝と家系で見れば小柄で祖母より小さいが例にもれず筋肉質で骨太だ。

祖母は身長も高いが太い、家でコンビニで買ったご飯を食べてテレビを見て寝るを繰り返しているんだから当然のように肥える。力は強いが瞬発力はないのだ。

いつも通り機嫌が悪かったのだろう、頭を押すように叩かれた。

感情が爆発したのだろう、いつもは俯いて何も反抗しない私が急に怒声を上げたのだ、祖母は相当驚いていた。

手に持っていたマグカップを祖母の顔に叩きつけて

「うるせぇんだよきたねえから触んなくそばああ!!!!」

汚い台所だ、猫の糞尿で溢れていて、餌と水は与えているが、ケアはされていない、生きているだけの猫、産まれた瞬間からこの家に縛られる、生まれた瞬間に生きていけないと判断された猫が母猫に食べられるのを何回目にしただろうか、頭と体の離れた子猫、ずっとハエが飛んでいる、猫の一生を、私の人生の一部を祖母は台無しにしていくことに何の違和感も感じていない、何の感情も持っていない、憎しみが爆発した。

形勢逆転とまではいかないが、祖母の気が少し小さくなったような気がして気分が良かった。

それからは怒声罵声の言い合いだ、その場にあったもので殴るか投げるか、お互い必死だ。

ここで負けた方が主導権を握ると思った、祖母もそう考えたんだと思う。

何をされようが引くわけにはいかなかった。

とりあえず殴るだけ殴って蹴れるだけ蹴った。

私の足が祖母のお腹に入ったことで収束したのだ、祖母がうずくまった。

「調子こいてんじゃねえぞ借金くそばばあ!お前なんかなんにもできないゴミだろうがよ!!!」

息切れしながら罵声を浴びせてプレパブに戻った。体がすごく震えていた、恐怖だったのか、武者震いなのかはわからないが。

父は母屋にいたはずだが私たちが殴り合いで相当物凄い物音がしていたはずだったが出てはこなかったのだ、父は肝心な時にいない、私にとって頼れる存在ではなかった、以前から今もこれからもだ。

これからは自由にやりたいことをやればいいのだ、誰の目も気にすることなく自由にわがままに生きていればいいのだとその当時は大歓喜した。

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