第7話

サーバー運営はなんとか、歪だが形にはなっていたと思う。

サーバー内にはネットで知り合った友人に声をかけて入室してもらった、他は掲示板で見かけて入室してくれた人が数人。1か月でアクティブに動いてくれる人が15人集まった、満足だった。

サーバーには誰かしらがいて、何か作業をする、ゲームをする、お話をする等個人個人が自由に過ごしていたように思えた。

そこに友達を招待したのは私だ。交友関係を広げる手立てになればいいと、お節介をしたのだ。

皆馴染んでいたように思えた、楽し気に話していると思っていたし 私がいないときも活動があることは良いことだと思った。


私が楽しくて皆も楽しいなら最高だと思った。

その日もいつも通りだった。

サーバーの活動に活発な、私を苦手意識していると認識していた男の子【タカノリ】

いつもおちゃらけている、皆から面白いと評判の【りょうま】

2人と雑談をしていた時にタカノリが話題に出したのだ。

[皆で無料のオンラインゲームをしましょう、ご参加お待ちしています。出席できるかたはこのコメントにチェックを入れてください。]

3日前に友達がお知らせのチャンネルに書き込んでいたことについてだった。

何かを企画するときには例外なく、報告をしてもらうことをサーバーのルールにしていた、報告がない場合はサーバー主、私は一切何にも関与したいことは記載していたし、皆も承知していたと思っていたのだ。

私は関与しないつもりだ、報告がないなら私が関与することはルール違反になってしまう、例外を認めたら面倒くさいことが起こると思ったから何も言わない、話題にも触らないでいたのだ。


平日の夜に企画された内容は社会人、学生が多い此処では必要としている人数が揃わないと思われるチェック数だった。

るりと仲がいいタカノリは疑問に思ったのだろうか、他に何を思っていたのかは知らないが、その時の会話が私には高圧的に聞こえた気がしたのは被害妄想だと思いたい。

「りりこさん、いつもみたいに皆に参加のお声がけしないんですか?」

「しないよ~私相談されてないしさぁ」

「りりこさんが声かければある程度人が集まると思うんですけど、なんでしないんですか?」

怒ってるのかな、機嫌が悪そうな声色、不安だ。

「必読に書いてあるし、例外ができるとめんどくさんだよね 何があってもしないったらしない!」

「へー、りりこさんってなんでも他力本願ですよね。」

他力本願、私が一番嫌いな言葉だ。わかってて言ったんだろうか、そんなはずはないはずだ。

「そぉ~?まあ自分の人生だし自分でやりきってもろてぇ!!」

「人生とか、そんなに大きな物事の話はしてないんですよ!!」

知ってる。身に染みるほど知っているつもりだ。

私は性格が悪いのだろう、その些細な一言が 関係ないように見える一言が、るりに関する見ないふりができなくなる決定的なトリガーだったのだ。

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