調停者(ストッパー)

「招集...ねぇ、昨日のあいつらの話でもすんのか?銃持ちぐらいいくらでも居るってのに」

「そんな言うなって。別にそうと決まったわけじゃないだろ?」


調停者本部、その講堂に灰、泰斗を始めとした調停者のメンバーが集められていた。そんな中、突然の招集に不満を漏らす泰斗を灰は諫める。


「ようふたりとも!まさかここで会うなんてなぁ!」


そんな二人に声をかけたのは...


「はぁ!?何でお前が!?」

「黒縁!?TierNoneじゃ...」


本来調停者はランクB以上の能力者のみが所属する組織である。そこに黒縁がいるということは今までならありえない。


「スキルチェックだよ。前回の測定、目測測定でTier2だった」


その疑問に黒縁は笑いながら答える。


「マジかよ!それはめでてぇな!」

「うん。おめでとう。それで、スキルワードは?」

「うーん、秘密、かな?」

「そうか...まあむやみに晒すのも良くないからな」


などと雑談を交わす内に、本題が開始され、それと同時に講堂のステージに同じく消臭された人々の視線が集まる。


「調停者所属の皆さん、お集まりいただきありがとうございます。先日発見された外れアウトローにつきまして、いくつかの事実が発覚したため共有させていただきます。それにあたって、講師にして異能力開発研究者であるこちらの方をお呼びしました」

「初めまして、皆さん。私は異能力の分析を行っております、天里あまさとと申します。以後お見知りおきを。ではまず、こちらの滞空監視カメラの映像をご覧ください」


その言葉と同時に、AR表示で映像が表示される。そこには、灰達が昨日戦った敵のような集団、そして一人の調停者が交戦している様子が映し出されている。だが外れ者は完全に疲弊しており、調停者は傷一つ負っていない。

『テレポート!』

だが、外れ者の一人がそういった瞬間、彼は首を傾げ、路地から離れたところへと向かっていく。それもで。


「今送信した映像から、敵の能力は瞬間移動ではなく、タイプE能力、認識を騙すものであると考えられます。同様の報告が一件ありましたが、そちらについては現在調査中です。もし遭遇した場合、消失したと思われた際には、見えていなくても徹底的な無力化に務めるよう、お願い致します」


「今回の要件は以上となります。各自解散してください。」


そう言われ、講堂の人々がバラけ始める。


「多分俺らが昨日戦ったヤツみたいなもんだよな?」

「そうだね。次見つけたら...わかってるよね?最後まで徹底して…」

「わかってるよ!なぁ、黒ぶ....ち?」


泰斗が後ろを振り返っても、既にそこに黒縁の姿はなかった。


「あいつ、ほんと気まぐれだよな」


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