第33話 トロピカンランドへ行くpart2

「おいしいねー!」

「おいちい!」


未来と愛花ちゃんが、ソフトクリームを食べている。

メリーゴーランドに乗った後、ゴーカートに乗ったり、射的をしたり……もうあっちこっちで遊びまくった。

ふう……少し疲れたから休憩だ。


「パパはいいの?食べない?」


未来がソフトクリームを俺に差し出した。


「ああ。俺は甘いの苦手だから」

「そうなんだ……さっきはごねんね」


未来はうつむいた。


「え?何が?」

「ほら……顔をあたしの胸に……周りの人にジロジロ見られていたから」

「あ、それか……全然気にしてないし、ああしないと乗れなかったよ」

「ならいいんだけど」


正直、未来の柔らかい胸は気持ちよかった……

でも、周囲から見れば女の子の胸に顔を埋めてメリーゴーランドに乗るヤバイ奴だったに違いない。

しかも、なぜか小さな女の子を連れているわけで。

未来が恥じらうのも無理ない。

俺たちはさっきの状況を思い出して、お互いに顔を赤くした。


「パパ!愛花は次ここ行きたい!」

「え?ここがいいの?」


愛花ちゃんが指さした先は……お化け屋敷。

トロピカンランドのお化け屋敷――「超戦慄迷宮」は、ガチで怖いと有名だ。


「愛花ちゃん……すげえ怖いお化け屋敷だよ。泣いちゃうかもよ?」

「愛花、お化けとか信じてないもん!怖くないもん!」


きゃはははと、愛花ちゃんは高笑いした。


「へーそうなんだー」


俺はニヤリと笑う。


「パパ!信じてないないな!ぶー!」


愛花ちゃんがポカポカ俺を叩いた。


「ねえ……パパ。本当に行くの?」


未来がおそるおそる俺に聞いた。


「あはは!ママ!お化けが怖いんだ!」

「ち、違うよ!愛花が怖がって泣いちゃったら大変だなーと思って……」


必死に否定する未来の姿を見ると、どうやらお化け屋敷が怖いようだ。


「だってね、超戦慄迷宮は、大人でも泣いちゃう人いるんだよ?愛花みたいなちっっちゃい子が行ったら、きっとすぐ泣いちゃうと思う。せっかくトロピカンランドに来たんだよ。怖い思いしたくないでしょ?」


未来が愛花ちゃんを諭すように言う。

うん……これは間違なく怖がっているな。


「ママ……怖いんだね。愛花は大丈夫だよ!ママが嫌なら、愛花とパパで2人で行くから。ママはここで待ってて!」


愛花ちゃんが俺の手を引いて行こうとする。


「……あたしも行く」

「いやいや、本当に怖いなら待ってて――」

「絶対、行く!」


やれやれ……大丈夫かな。





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