第5話 条件はハグ

「それで、どういうことですか?」


「あー、実は」


 放課後、人気のない校舎裏に呼び出された。

 呼び出したのはお怒りの聖女様である。


「そういう経緯ですか。でも忘れてたんですね。」


 髪を切らないといけない経緯を説明したが 

 忘れてたのも事実なのでお冠である。


「悪かったよ。でもそんな重要?俺の前髪……」


「なっ!!重要ですよっ!最重要です!」


「そっ、そう……?」


 もう何年もこんな髪型だからセフレ解消しようって言った時に出された条件だったけど特に何も変わらないから特に何も考えなかったけど……。

 何が重要なんだ??



「髪切らないとダメなんですか?ほんとうに??」


「まあこの際別に良いと思ったんだけど……ダメかな?」


「いい…ですけど、代わりにお願い聞いてください」


 またお願いかよ

 なんで増殖してんだよ……。


「それで……なに?」



「…ハグ」



「え??」



「毎日ハグ、してください!」



「えぇ!?なんでっ!」



「私、本当はあの関係、解消なんてしたく無かったです」



「全く躊躇わず頷いたじゃん…?」



「それは……嫌われたく無かったので…」



「なんでハグなの…?」



「だって…またあなたにぎゅーってして欲しいので」


 顔を赤らめながら俯く御園

 でも……。



「あなたが嫌なら他の男子に頼んでしまうかもしれません」

「関係が続けばその男子に身体を求められてしまうかも」

(由良くん以外に絶対そんなことは頼みませんが)


 「わかった」


「っ……いいんですか?毎日ですよ?」


「ああ…土日はなしでいいよな???」


「まあ、仕方ありませんね。その分月金、濃厚にお願いしますね?」


「……」


 俺以外の男と御園が抱き合っている姿なんて想像したく無かった。

 元セフレ、の関係に独占欲みたいなものを抱いてしまったのだろうか。

 他の男に行くくらいなら俺がって思ってしまったのだ。



「それと今日から、なので。今からお願いします」




 マジかよ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る