第16話 車内と笑顔

 本宮は車を走らせた、本宮のお店から、大通りに出てそこから、海岸線を道なりに進むと、目的地である大型ショッピングセンターが見えた。


 合流してから30分ほど、車内は微妙な雰囲気になっている。


 はじめはお互い気を遣って、天気や休みの日の過ごし方等、何気ない会話を続けていたが、今は会話が止まっていた。


 (まいったなー)


 本宮は、元々おしゃべりの方ではないので、こういう場面は、苦手ではあった。


 その空気を察してか、春が喋りはじめた、春としても聞き役に徹するよりも、その方がいいと感じたのだろう。


 「車ありがとうございます、私も映画とか久しぶりで、たのしみにしてました。」


 春の気遣いに申し訳ないと思いながらも、こちらを見た春の笑顔に、本宮は、また緊張してしまった。


 「普段はどんな映画をみるんですか?」


 質問に答える形で会話が上手く噛み合ってきた、車ももう目的地に到着する。


 2人だけとの空間よりはいくらか、緊張は解れるだろうそう思いながら、本宮はショッピングセンターに車を止め、時間を確認する。


 目的の映画の時間まではまだまだ余裕がある。

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