明日にも滅びかねない世界のため,リンゴの樹を植え続けるような物語

一話あたりの文字数はカクヨムの相場より確実に多く,溜めの展開にもしっかり話数を割くため,人を選ぶことは否めません。
しかしながら,「異世界史実大河」のタグに違わぬ骨太な世界観と説得力のあるキャラクター描写には,そのハードルを差し引いても一読の価値があります。

表題はルターの言葉ですが,私はこの作品の主人公の在り方から,アメリカ西部開拓期の偉人,ジョニー・アップルシードを連想しました。
この物語の主人公に課せられた使命。それは人々の未来を守るため,人類にとっての滅びの芽を摘み,明日へと続く道を作り続けること。その過程で知った個人の悲劇,人類に滅ぼされた生命の怨嗟,それらを生み出す人類の業と向き合いながら,主人公は終わりの見えぬ闘いに身を投じていきます。人類の在り方が根本から変わらない限り,終わることのない闘いに。

主人公の旅路がどのような帰着を見せるのか。その時に世界の在り方は変わるのか,このままなのか。そんなことに思いを巡らせながら,日々の更新を心待ちにしています。

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