転生したってキミが好きっ? 話が違うよ女神様っ! 会えると言われてもう半年、彼女の魂は誰の中っ?

🌸桜蘭舞🍒@暫くお休みします!

第一章 第1話 プロローグ

      成美圭なるみけい視点  


 高校二年になる春休み、初の彼女とのお泊まり旅行に、俺は幸せの絶頂にいた。


 ……今日こそ、男になってやる。

 悠だって、そのつもりのはず。

 今までのヘタレ野郎の汚名を返上する為にも、俺は……。



 ……チャンスはいくらでもあった。

 

 去年の五月に付き合い始めて、夏休み、誕生日、クリスマス……

 キスをするのに一ヶ月、……その先の事もちょっとはやったよ。


 だけど、そこから先は、……ことある事に俺がヘタレて中々先に進めない。

 既にクラスでは『成美夫妻』とか、『熟年カップル』などと言われてるが、実際の所は『ダメダメ亭主』だ。


 ……そこで、起死回生の一手

 親公認の俺達だが、今回ばかりはとにかく頼み込んで、二泊三日で北海道旅行を許してもらい、晴れて今、機内にいる。

 


 ……だが、事態は一転して最悪の状況に……。



 乗っていた飛行機が、絶賛墜落中なのだ。


 ……もう、ダメだ。


 罵倒と悲鳴で機内がパニックになっている中、既に俺は覚悟を決めていた。


 ……どうせなら、帰りの飛行機で墜落したなら諦めもついたのに。

 大人の階段登る前に、転がり落ちるとは……。



 「うえぇっっ、うえぇん! ……圭くん、私達、死んじゃうのかな?」

 「奇跡でも、起きない限りな! 悠、俺っ、生まれ変わってもお前と一緒がいいなっ」


 彼女、赤西悠あかにしゆうは恐怖と涙でグシュグシュになりながら、

 「圭くん、大好きだよっ!」


 「「来世も、ずっと一緒だからっ」」


 二人は、お互いの手を握りしめて、その後、抱きしめあった。


 そして口づけをしたまま……、墜落した。


 ……そこから先の記憶はない。



 ーーーー



 「……助かったのか?」


 「いいえ、残念ながらあの飛行機の乗客は、全員亡くなったわ」


 何かアニメで見た事あるぞっ、この光景。


 「もしかして……女神様?」


 「……物分かりが良くて助かるわ」


 後光が差す中で、美しい笑みを浮かべながら、その『女神様』は言った。


 「これだけの人数が、一度に亡くなったから大変よ! アナタは、この身体でいいわねっ」


 「俺、生まれ変わるのか?」


「今とは違う世界で、もうすぐ寿命が終わるこの人の後に入って、引き継ぐって感じかしら?」


 女神様はそう言って、モニターの様なモノに手を触れた。


 そこには病室のベッドで寝ている青年男子と、その母親らしき女性、そしてベッドを囲む様に、綺麗でスタイルの良い三人の女性がいた。


 「この人が死んだ後の、あの身体に俺が入るって事?」


 「そうよ、だからあの人は魂が入れ替わるだけで、死んだ事にはなってないのよ。もうすぐあの人の魂がここに来るから、記憶の引き継ぎをするのよ。ちょっとしか時間がないから、質問があるなら今のうちにね」


 「俺の記憶は、そのままなのか?」


 「えーっと、まぁ、今回はそのまま残しておこうかなーって、ププッ」


 ……何だ、なんかイヤな予感がしたぞ。


 ちょうどその時、白い光の塊が俺の目の前にやってきた。


 『……ここは、どこだ?』


 『私は女神、今からアナタの記憶を移し替えます』


 『うわぁっ』


 白い光は一瞬で消えてしまった。


 この人の生まれてから今までの記憶が、俺の中に凄い勢いで入ってくる。


 「女神様、この人は教師をやっていて、……えっと、トラックに轢かれそうな仔猫を酔った勢いで助けに入って、そして今ベッドで…………悪い人じゃなかったんですね」


 「えぇ、普段は正義感のあるいい男よ、生徒にも慕われてるし、……ただ、本っ当に女癖が悪かったのよ! でも、それさえなければいい男よ、イケメンだし。……アナタ、良かったわね! これからモテモテよっ! でも、まぁ、しばらくの間は男性機能を不能にしておくけどねっ」


 「ちょ、ちょっと待って下さいっ! 俺、全然関係ないじゃないですかっ?」


 「あら、そろそろ時間だわ! 新しい世界での第二の人生、応援してるわ」


 「さっ、最後にもう一つ、悠は、赤西悠の魂はどうなったんですか?」


 「心配しないで、ちゃんとアナタのいる世界に送り込むわよっ! 二人の絆が強ければ、いずれ会えるわ! あんな最後まで、イチャイチャしちゃって……、暇つぶしになる位面白くなるといいけどねっ」



 「えっ、何ですか?」


 「なんでもなーい、それじゃ、元気でねーっ!」



 そう言って女神様は姿を消し、俺はまた意識を無くした。



 🍒はじめまして、桜蘭舞さくらんと申します。


 このお話は、私がコロナにかかってる間、テレビもラジオも聞く気になれず、ただ目を瞑っているだけの時、ふと思いついて書き始めた最初の作品です。 このあとがきを書いているのが半年後の私ですが、とても辿々しく、そして初々しいこの作品、よろしければお付き合いくださいませ♪


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 桜蘭舞

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