第11話 不思議と癒される

 枋木こぼのき風香ふうか side


 昔から友達が何故か多かった。

 仲の良い友達が、その人の友達を連れてきて、仲間に入れてもらい、いつの間にか私も友達になっていた。

 だから、学校では寂しさはなく、楽しく過ごしていた。

 友達がよく喋るから、私は喋らなくても聞き手に徹して、たまに一言いうだけで場は和んだ。

 よく言われていたことは「風香といると不思議と癒される」と。

 どういうことなんだろう?

 小学生の頃の私は理解出来なかった。

 中学生になると門倉かどくら麻耶まやちゃんと出会い友達になった。

 すると、麻耶ちゃんが自分の友達を連れてきて、仲間に入れてもらい、いつの間にか私も友達になった。

 居心地は良かったから、麻耶ちゃん達の後ろをついて行く感じに。

 ここでもまた言われた。

 「風香といると不思議と癒される」

 そんなことはないのにな。

 さらに「聞いてくれるから、ついもっと聞いて欲しくなるし」と言われた。

 高校生になると、友達の友達は友達、がまた展開された。

 自分が動かずとも、友達は溢れる環境に慣れていた中、高校2年生になった私は、隣の席の男の子が気になるようになっていた。

 彼はどんな人なんだろう?

 私のことをどう思っていて、どんな印象を持っているのだろう?

 初めて自分からと思った瞬間だった。


 また2人でお茶したり遊びに行ったり、出来たら良いなー…。



 2人きりのお茶は和やかだった。

 また一緒に…今度は僕から誘おうと、ひっそりと決意した。

 断られませんようにー…。

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