第8話 テスト勉強

 テスト期間に入る1週間前。

 範囲を予想しながら復習の日々が始まった。

 赤点は1度も取ったことはないが、念には念を。

 そんなことを考えて図書室で勉強をしていると、少し離れた所に枋木こぼのきさんはいた。

 彼女の隣には門倉かどくら麻耶まやさんがいて、向かいには夏焼なつやぎ由鶴ゆづさんが座っている。

 黒髪でリボンを使ってポニーテールにして、可愛い物好きなのだろか。

 筆箱はピンクのモコモコ、シャーペンはゆるキャラ、鞄にはぬいぐるみのキーホルダーが付いている。

 夏焼さんは隣のクラスの生徒で、門倉さんと同じ部活仲間だから、おそらく友達だろう。

 それで枋木さんも友達という。

 つまり、友達の友達は友達、というやつだ。

 3人は楽しそうに時にダレながらも勉強をしていた。

 ほっこりするものだ。

 あまり見ていれば気づかれる為、また勉強に集中する。



 勉強が終わり、腕を上にグーッと上げて伸びをしながら、視線をキョロキョロしたら、いつの間にか枋木さんは1人になっていた。

 門倉さんと夏焼さんは先に帰ったのだろう。

 声をかけに僕は枋木さんの所に向かった。


「枋木さん」

「あっ、薮木やぶき君」


 ちょっと驚いている枋木さん。


「テスト勉強?」


 枋木さんは首を傾げて聞いてきた。


「まあね」

「私もさっき友達とね」

「そうなんだ」


 見ていました、こっそりと。

 キモいな、ごめんなさい。


「今から帰るの?」

「そうだけど?」


 枋木さんはもじもじしながら、良いのかな?断られたら…なんて顔でこう言った。


「時間あるなら、どこかでお茶しない?」


 ちょっとしたお誘いに僕は「いいよ」と快諾した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る