第4話 届きそうで

 授業の一貫で、調べ物をしていた。

 図書室や資料室に行ったり来たり。

 目処がついた人から教室に戻ってタブレットでまとめて、先生のメールアドレスに送信。

 僕は図書室からそろそろ教室に戻ろうとした時だった。

 枋木こぼのきさんが、ぴょんぴょん跳びはねていた。


「んっ…どうしよう…」


 頑張って必要な本に手を伸ばしている。

 見てしまったのだから、助けない訳にはいかない。

 僕は枋木さんの所に行き声をかけた。


「枋木さん」

「はっ…!」


 恥ずかしがりながら僕を見る枋木さん。


「どれ取ればいいの?」

「えと…あれを…」


 枋木さんが指差した方向に視線を向けると、花の図鑑がずらりと並んでいた。


「青の背表紙の本をお願い」


 僕は青の背表紙の花の図鑑を取った。

 それを枋木さんに渡す。


「ありがとう」

「どういたしまして」


 これで教室に戻れそうだなと思っていると「ごめん」と枋木さんが僕を呼び止めた。


「まだ、あるんだけど…」


 申し訳なさそうに俯く枋木さん。

 仕方がない、協力しよう。


「あと何冊?」

「2冊」

「場所は?」

「こっち」


 枋木さんの必要な本を取ってあげてあから、資料まとめに取り掛かることにした。

 まあいいや。

 可愛らしい枋木さんを見れたから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る