Weather -姉 のち 姫 時々 神-

アクリル板W

プロローグ

プロローグ

 一人の少女がいた。


 可憐さを通り越して優々しく、慎ましさを置き去りにして神々しく。


 いつもずっと傍にいて、どんなときでも必ず私を守ってくれた。


 それは、とてもとても大切な記憶。


 悠久なる堆積に埋もれた彼方の原風景。


 うに失われ……それでも渇望してやまない、遥か遠けき故郷。


 姉のように、母のように、のように、共にいた存在。


 彼女さえいれば、彼女さえいてくれたら、もう何もいらないのに。


 また、同じときを過ごしたい。一目でいいから、逢いたい。


 それを願ったことは、果たして罪なのか。


 それを叶えたことが、しかして罰となるのだろうか。


 私には何も分からない。分かりたくなんて、なかったのに……。

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