イエス！ ストーキングラブ！！

序章 これはピュアラブ

　佐藤恵奈！

　ああ、なんて美しい名前だろう！　佐藤の「佐」のにんべんの、滑らかな曲線に、彼女の性格のように、控えめに添えられた「左」！　「藤」という漢字も素敵じゃないか！　奥州藤原氏！　熊蜂も惹かれる、深みのある紫の花！　恵奈の「恵」は、恵まれることを意味し、「恵奈」の「奈」は、神事にも用いられるカラナシの実を意味する。

　彼女にこんな美しい名前を着けたご両親は、なんてことをしてくれたのだろう！　国民栄誉賞ものだ！　いや、ノーベル賞をもらったっておかしくない！　彼女の名前を見るだけで、口に出して読むだけで、こんなに幸せになるんだ！　彼女の名前は、世界中の者を幸せにする！　こんなに効く薬が何処にある！　どこにも無い！

　名前だけじゃないさ！　

　彼女の容姿！　ああ、なんて美しいのだろう！　千一夜を奪ってこしらえたような黒い髪は艶やかで、陽光の下に立った時は、まるでそこに天の川が流れているようだ！　肌は赤ちゃんのように白くふっくらとしているんだ！　小さな胸は、スカートから覗く脚の全てが控えめで、まるで、慈愛に満ちた神の掲示を受けた天使！　いや、彼女自身が神さまと言っても過言ではない！　

　ああ、なんて罪深い！　ああ、神よ。ご両親よ！　あなたは、どうしてこんなに美しい女性をこの地上に産み落としてしまったのだろうか！　

　感謝感激イエスキリスト！　

　今日も貴方に祈ります！　佐藤恵奈を僕に出会わせてくれて、ありがとう！