第8話 奪還作戦開始


リムライムの拠点からさらに数十km。私たちはようやくハラルーニへとたどり着いた。ハラルーニの惨状を見た兵士達は苦虫を噛み潰したような表情浮かべ「le putainクソが」と呟いた。私は息を吐き「只今よりハラルーニ奪還作戦に移行します。」と告げ、時計塔を見つめた。 この時計塔はフランシア王国にとってどれだけ大切なものか……それを壊したブリーデン帝国軍を私は絶対に許せなかった。



「フランシア王国軍!神の名のもとにこの土地を奪還しましょう!」


「「おぉ!」」 私達は神へ誓いを立て時計塔を目指そうとした。その時パァンッと乾いた銃声が辺りに響いた。音がした方向を見るとそこに居たのは帝国軍だった。


「フランシア王国軍。ここは俺たち帝国軍のものだ即刻立ち去ってもらおう」


「巫山戯るな!この土地は俺たちフランシア王国の物だ!余所者のお前らがさっさと出ていけ!」 と両兵士は1歩も譲らない様子だった。当然だ負ければ死に勝てば褒美を貰える。とても分かりやすい仕組みだ。でも私には関係無かった。私に出来る事をやるだけ。それだけだった。


「ブリーデン帝国軍。この土地は私たちのものです。抵抗はしないでください」と私は告げ、剣を引き抜いた。その様子を見て王国軍の兵士たちも剣を抜き「行くぞブリーデン帝国軍!」と声を張り上げながら告げ、突撃した。



「前衛攻撃開始!左翼、右翼の中央は援護射撃に入ってください!後衛は前衛が作った道を走り時計塔へ!」


「王国軍を通すな!通せば首が飛ぶと思え!」


「あの指揮している女を狙え!あいつを落とせば王国軍は落ちる!」そんな言葉を聞きながらも私は後衛の兵士を率いて時計塔へと向かった。


「リナを守れ!ここを奪還すれば勝機はある!」


「フランシア王国を舐めるなよ帝国軍!」


「リナ!お前ら頼んだからな!」兵士達の声を聞き私はにっと笑みを浮かべ「お任せ下さい!」と告げ、時計塔の中へと入った。




時計塔の中に入り私たちは最上階を目指し階段を駆け上がった。中にも帝国軍は居たが兵士達のおかげでかすり傷程で最上階へと登れた。


「や……やっと着いた……」


「おいおい……どんな強面が来るのかと思ったらこんな可愛らしいお嬢さんだとはな」


「怪我する前に帰った方がいいぞぉ?」


「……女、女とそれしか言えないんですか。」


「なんだと?」


「……参ります」私は一言そう告げて一気に帝国軍の兵士へと斬りかかった。彼らが剣を抜くよりも1歩。1秒。私の方が早く、私は彼らに致命傷を与えた。


「リナ!よくやった!」 「これで見張りは落ちた!奪還成功だ!」「外の奴らに知らせてやれ!」 と王国軍の兵士達は笑みを浮かべながら告げてきた。私は剣に付いた血を振り払い時計塔の窓から顔を覗かせ「帝国軍の見張りは落ちました!帝国軍は今すぐ投降してください!」と叫んだ。すると「まじかよ」「嘘だろ……?」と困惑する帝国軍の声が聞こえてきた。それと同時に剣や銃を降ろし帝国軍は降伏を表す白旗を上げた。私たちは顔を見合せ笑みを浮かべハイタッチしてから「ハラルーニ奪還作戦!これをもって終了とします!私たち王国軍の勝ちです!」と私は叫び兵士たちも喜んだ。

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