第2話 十二支

【天界・琇楽園しゅうらくえん。ここには十二人の住人がいる】


子溫しおん「がいくん、がいくん!! 起きて、大変!! がいくんの大事な金魚が!!」


沖亥じゅがい「……な、何だ!? 何が起こった!?」


ガタンッ、バタバタバタバタ、スパーンッ!


沖亥「金造きんぞう銀造ぎんぞう!………って、いたって普通じゃねぇか!!」


子溫「ぷくくくくっ……やばい、吹く……も、無理……あははははははっ!!」


沖亥「…………子溫、てっめぇ…………。またやりやがったな! このくそアマぁああああ!!!!」


子溫「きゃー、がいくんこわーい、来ないで来ないでー」


沖亥「満面の笑みで言いやがって……!! 今日こそはぶっ殺す!!!」(短剣を召喚)


子溫「あ、流石に神器はやばい」


ボコッ


沖亥「…………いっ…てぇ!!」


鐸戌たくじゅつ「亥、煩い。神器しまって。子溫も朝から亥をいじめるのやめろって言ってるよね」


子溫「面白すぎるがいくんが悪い。……ふふっ、思い出しただけで笑える」


沖亥「……っ、マジでてめぇ殺す」


鐸戌「君ら、いい加減にしなよ。馬鹿猿が来るよ」


申錫しんしゃく「だーれーが、馬鹿なんだーわんわん?」


鐸戌「ほら、猿来た。てか、誰に向かってわんわんとか言ってやがる? お前より俺のが上だろ」


申錫「馬鹿犬なんかわんわんで充分だ」


鐸戌「あ?」


申錫「なんだ? やるか?」


ボゴーッ


申錫・鐸戌「いってええええー!」


巳炸みさく「貴方達も煩い。喧嘩しないでくれる? 毎回止めるの面倒くさいの」


未燗みらん「申さん、また喧嘩したんですか……? ダメって言ってるのに……」


申錫「ら、燗…!? 待て、誤解だ! 鐸戌が悪いんだよ!」


鐸戌「人のせいにするな」


午燎ごりょう「申ちゃん、ほんとらんらんには激弱っすね」


巳炸「馬鹿って言われて当然ね」


鐸戌「でしょ?」


卯蓮ぼうれん「たーくちゃーん、おーはーよー!!!」


ひょいっ


鐸戌「うん、おはよう、蓮」


ズサーッ


卯蓮「避けられた……今日もいつも通り冷たい!!」


槐辰かいしん「お前たち、席につけ。朝餉だ」


丑澪ちゅうれい「冷めちゃうわよー、早くしてー」


午燎「え、ゆうちんとらいっちは?」


酉星ゆうせい「もう席についてるんだよ! 早くしろ! ……あ、ライ、寝るなー!!」


寅櫑いんらい「んー……眠い……」


酉星「ライが寝ちゃうから早くしてくれー!」

[食卓]


槐辰「よし、全員いるな。じゃあ、手を合わせて。いただきます」


全員「いただきます!!」


【彼らは暦を司る存在で、一年交代の十二年周期で人間界に恩恵を与えている。彼らのことは皆、こう呼ぶ。『十二支』と____】

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