第9話 桜の下に雪が降った

ずっと夢を見る

女の夢だ。

女は僕の首をギリギリと締める。

僕の意識は段々と朦朧としてくる。

女が何か言った。

それが何かは聞こえない、もしかしたら耳が削がれているのかもしれない

でも、意味はなんとなく分かる。

それは…

ふと、女の顔を見た

その女の顔は


泣いていた

目が覚めた。

またこの夢だ。

春、桜が咲く頃になるといつも見る夢だ。

僕は夢の中で首を絞められて

朧気な意識の中何かを聞き

目が覚める

この夢を見るのは


いつも人が死ぬ時だ

初めて女の顔を見た。

泣いていた

何故だろう

首を絞められているのは

この僕なのに

小さい頃は女が何をしているのかも分からなかった。

ただ苦しくていつも泣き叫んでいた

親はその度に僕を宥めてくれた


その親も先月死んだ

今日は誰が死ぬのだろう

僕が顔色の悪い時に色々な人が死ぬ。

だから僕は死神呼ばわりされている。

あの女は何をしたいんだろう

僕をこれ以上孤独にしないでくれ

ああ、あの女は僕を孤独にしたいんだろうか

誰か…教えてくれよ


前編です。

中編、後編に続きます

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