第7話  予知夢?

「ねえ。智美ちゃん、また夢見たよ」


「どんな夢け?」


上水うえみずさんが会社を辞める夢、でさあ」


「辞めんやろ!だって63歳、過ぎてんのに事務員やれてんだから、辞めんわ!絶対!」


「まあ、聞いてよ!上水さんが辞めた後、智美ちゃんと私らの天下やでって話しとった。それで社長が自宅に新品のソファ買ったからって古いソファを持ってきたの、そのソファを工場長が「使うか?」って言ってくる。で、それを女子更衣室に置いてそこで休憩してた夢」


「へえ〜。だけど上水さんは辞めんと思うよ。まあ、上水さんが現場に出ろって言われたら話は別だけどね。でも今まで言われんかったんやし、これからだって事務員のままだわ」


 私が勤める会社の事務員さんは定年退職を迎える60歳になると現場に出ることになっている。


 歴代の事務員はみんなそうして現場の作業員となった。


だが、上水さんだけは違っていた。

何故かずっと事務員を継続していたのだ。


昔からいるおばさん連中はえこ贔屓だと陰口を叩いていたけれど私と智美ちゃんは最初から現場の作業員だから、上水さんが事務員を続けていても別にどうでもよかった。


しかし、昔からいる彼女は、

世にいう ー春日局様ー で、誰も

「物申す」

って事は不可能だった。


どこでも付きまとう

年功序列の世界だ。


それが、その夢の話をした一ヶ月後くらいに

上水さんが辞めたのです。


係長が、

「そろそろ現場に出てください」

と言ったのだ。


 今まで大目に見ていた工場長が会社を辞めることになり、それきっかけで係長が、


「一人だけ特別扱いはできない!」


と言って、即、現場に移動となり


「やってられない」


と翌日から出勤しなくなった。



上水さんが会社を辞めて

智美ちゃんが一番上となり


社長の自宅で使っていたソファ、

女子更衣室で使うか?と聞かれてソファを置いてもらった


今まで上水さんが中心で

「お昼ご飯の後、食堂でみんなで休憩」

という決まり事が、

智美ちゃんが天下になって

それぞれ自由にお昼の休憩を

取るようになった。


事務員さんは自分の席で

私たちはソファの置かれた更衣室で

若い子たちも自分の好きなところで休憩を取るようになった。


「市恵!夢が現実になったやん!」


「ほんまやね。わたし、能力者やね」


二人して😆😆

というお話、


信じるか信じないか

智美ちゃんが証人です✌️





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