第十八話 「Донер Кебаб(ドネルケバブ)」

"ガラッ....


「(・・・廃墟か何かなのか....?)」


「ウッヒョォォアアアー


 サムイ! サムイネエェエエエエ――――」


「・・・・」


「お前、何で俺についてくるんだ...?}


「・・・・」


"シャカ シャカ"


河野、は、アテも無く雪の中を歩き続けていると


何か、古めかしい苔が生えた


石造りの建物を見つけ取りあえずの


居場所を見つけたと思い、


その建物の中へと入ると、建物の中は


すでにかなり昔に人の手から離れているのか、


あちこちの壁が崩れ、瓦礫の様な物が


転がっているのが見える....


「"ツイテクル"、ドウイウイミダイ?


 ソイツウア――――?」


「(コイツ・・・)」


"スサケフスキ"


「(大体、この場所にこいつがいる事自体、


  かなり妙、いや、おかしい....


  しかも、何故かコイツは俺の後を


  尾いてきてやがる...)」


"ガラッ...."


河野は建物の中の一室、


狭い、所々が欠けた黄土色の壁に囲まれた


狭い部屋の中で、足元に落ちていた


瓦礫(がれき)を足で除けると


部屋の入り口の辺りで揉み手をしている


スサケフスキに目を向ける...


「・・・ヘヘッ―――、


 ヘヘヘッ....!」


「(ずいぶん、"機嫌"が良さそうだな....)」


「ヘヘッ ....ヘヘヘッ――――!」


"シャカ シャカ"


「(・・・・)」


会社では、いつも不機嫌そうな様子で


ウォッカを呷っているスサケフスキだが、


今、このモフソゴルロフの地で会った


目の前で両手をこすり合わせている


この男を見ると、何故か表情を崩し


笑っている様にすら見える....


「・・・俺の後を尾いてくるのは構わんが、


 お前ここで.... 何をしてるんだ?」


「――――ヘヘッ、!」


"ザシャッ!"


「ソレハ、マエモイッテタデショウ――――?」


「・・・レベデワの事か?」


「ソウ、ソウ――――....」


"ガラッ...."


離れた入り口の方にいたスサケフスキが、


携帯の明かりを照らしている壁際にいる


河野の側まで近寄ってくる


「オレハ.... テメェ...イヤ、


 クソヤロウ.... イヤ、


 ゴウナスワン、オレグワコクォニイルノワ


 グウゼン、シゴトデコッチニヨウジアテ


 ツイデ....ツイデデレベデワノトコニ


 キタ、ツォ、


 ――――ソウモウシアゲタデショウ?」


「(・・・胡散[うさん]臭い話だな....)」


「ブバズヴィチ....


 ノブドバブェブブビチ....!」


「(・・・信用できるのか....)」


道中何度か問い質した所によると、


どうやらこのスサケフスキは会社の仕事で


このモフソゴルロフ付近の場所まで来ており、


その場所から


Абсолютная-Øに派遣している


自分の部下である、新人女性社員、


レベデワの様子を伺うためにこの場所に訪れた所


偶然あの岩肌の前の"事件"と遭遇し


今この場所にいると言っているが....


「・・・ダイブ、"コミイッタ"


 ジジョウガアルミテエジャネエカ...


 エェッ!? ゴウナスワンヨォォォ―――ッ?」


「・・・お前、レベデワが、


 N/Sの捜査員だって事は知ってたのか?」


「・・・トント、シラネェ――――


 イヤ、ゼンゼンシラネェヨ....


 オレモ、クソヤロウ...イヤ、


 ゴウナスワンガアノイワノバショデ、


 レベデワニオイカケラレテ


 ニゲテルダナントゥワ....


 ゼンゼンワカラネェ――――


 N/S、ノーツェシートナントゥエコト、


 ゼンゼンシラネェ――――」


「(・・・・)」


"ガラッ"


「ア、ゴウナスワン、


 ドコヘイクンダイ――――?」


「・・・・」


"コッ コッ コッ コッ――――...."


「(・・・・)」


「マ、マッテクレョっ」


「(食料か・・・)」


「ウォ、ウォイッ」


「・・・・」


"コッ コッ コッ コッ――――"


「(・・・・)」


本当の事を言っているかどうかは


かなり怪しい所があるが、どうせ問い質した所で


この男は"事実"を話す事は無いだろう。


「(向こうにも、何かあるのか....?)」


"ガラッ...."


「ウオイッ マテっ マテクレヨッ!


 ゴウナスワワンッッ!」


「(・・・・)」


スサケフスキの言葉を後ろに聞きながら


「ハラショー... ハラ、ショー....」


部屋を出、そのまま別の場所を目指し


建物の中を歩いて行く....


「ケバブ.... ケバブ


 クイテエ・・・!」

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