第十六話 「Золотая лошадь(金色の馬)」

"ザシャッ ザシャッ ザシャッ ザシャッ"


「(Ведь похоже они уже


  ушли в Оиту,)

(やっぱり、既に大分先の方に


 行ってるみたいね・・・)」


「ヒヒイイインッ」


「Эй, эй, не сердись!

(お、おい、暴れるんじゃねえっ)」


「слишком много энергии.


 Это передается и коню

(・・・力が入り過ぎだ。


 "馬"にも、それが伝わってる...)」


「Эй ублюдок!

(こ、この野郎っ)」


「горб,

(・・・・コブ...)」


"バササッ!"


アントンが、自分が乗っていたトルコ馬、


"アハルテケ"


サラブレットをやや小さくした様な


青鹿毛の馬の上で、鞍をつけた


その馬を力任せに押さえつけていると、


アハルテケ、は、勢いよくアントンに向かって


力を返し、雪の上で勢いよく飛び跳ねる


「Ух ты!

(う、うおッ!)」


"ズササッ!!"


「кажется лошади тоже


 тебя ненавидят.

(・・・馬も、大分お前を嫌ってるみたいだな)」


アハルテケ馬のすぐ脇で、


ラバ

※(ラクダとロバの混合種 運搬用に共用される)


の上に乗っていたジュチが、岩肌の先の


【ЗАТО /ZATO】


かつて閉鎖行政地域組織と呼ばれていた場所で、


サラの雪の上に馬から転げ落ちた


アントンを僅かに目を細めながら、


無表情で見下ろす


「Ха-ха!

(・・・ハハッ!)」


「Зафар не смейся надо


 мной сволочь


 дисциплинируй себя!

(ざ、ザファー、てめえも笑ってねえで、


 この畜生、しつけやがれ!)」


「(・・・・)」


アントンの後ろ、ヤクーツク馬と呼ばれる


シベリアの雪に強い、体高の低い


毛並みが豊かな馬の上に跨っていた


N/Sの科学研究委員、ザファーが、


アントンが馬から転げ落ちたのを見て


顔を下に向けながら


笑っているのを見られない様に


顔を俯かせるが、それを見て


雪の上に転がっていたアントンは


ザファーを怒鳴りつける


"カパッ カパッ カパッ カパッ...."


「Это мир за пределами


 скалы,

(これが、岩肌の先の、


 "世界"――――....)」


"ヒュオオオオオオオオオオオ―――――


「(・・・・)」


文字通り、金色、いや、正確には


黄金の色よりは僅かに淡いが


金色(こんじき)の毛並みを持つ、


アントンの馬と同様アハルテケの


上に跨ったレベデワが、


微(かす)かに雪が吹き付ける


自分の視界前方に広がった


雪の世界に目を向ける―――――


「Цвефов

(ツベフォフ....)」

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