冬。

着込めば動けるから、夏よりはマシだけれど、冬も好きではない。カレシの仕事はトラックドライバーで、郵便も扱っているので年末年始は休みなく働く。それだけでも私の「構ってちゃん」病には大きな痛手なのに、増便があったり、雪なんて降られた時には家に帰ってこれなくなる。一人の夜を過ごすなんて耐えられない!カレシの大変さは解るし、事故を起こしたりするともっととんでもないことになるのも解っている。しかしそれはそれ、これはこれ。私は限りなくウザい女になり、付き合い始めの頃はカレシがそれにキレ、大喧嘩にもなった。

付き合いが長くなると、カレシも要領を得て、また私も理解、理解と掌に文字を描き、喧嘩をすることは少なくなってきた。ただし私のウザさは程度の差こそあれ確実に「ある」もので、それを発揮してしまうと、やっちまった……と後悔して鬱になる。それを見てカレシも悲しい気分になり、私は悲しいカレシを見たくなくて、しかし気分は簡単にアガるものではないので大変面倒くさい。普段にも増してこのような不毛な負のスパイラルに陥るのが冬の良くないところだ。

更にクリスマス前から正月過ぎまでの街の浮き足の立つような、普通の人なら楽しめる時期が私には苦手で、サワサワしたものが頭の中を支配するのが良くない。昔ならばカウントダウンライブに行ったりも出来たのだが、ひとりで電車に乗るということが今の私には難しい。会場に着く前に疲弊してしまう。

結局のところ、カレシと一緒に居れたらそれでよくて、居られないと辛いだけなのだが、よくそんなに依存しているのに平気だな、とカレシの鋼のメンタルには尊敬しかない。逆の立場だったらとっくに終わっている。カレシと出会った十二月になると、もう一年経ったのか!と驚くとともに、カレシに尽きない愛情を持ち続ける自分に驚き、それを受け止めてくれるカレシに感謝するのだった。

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