第9話 初めてのデート①


「待ち合わせの時間まであと15分弱か」


 今日は春川と付き合い始めての初デートの日である。 

 今日の俺の服のコーディネートは全て美久に手伝ってもらった。簡単に言って、カーディガンとTシャツである。美久が言うには、初デートなど付き合い始めてのデートの服装は落ち着いた雰囲気のものが良いらしい。

 また、下は動きやすいストレッチ入りのものを使っている。

 

「あ、いたいた!ごめん、待った?」


「いや、待ってはいない。それに春川だって時間前に待ち合わせ場所に来てるじゃないか。」


「それはそうだけど。……ていうか、私のこと“陽菜”って呼ぶんじゃなかったの?自分で言ってたじゃん」


「そういえば、そんなこと言ったな」


「忘れてんのかい!」


「じゃあ、まずはショッピングに行こうか」


 そう言って俺は歩きだす。春川も俺の斜め後ろについて歩きだした。俺たちはそのまま会話を続けながら目的の場所に向かっていった。


「ショッピング?」


「ああ、ネットで調べたら載ってたから行こうと思って」


「……そういうのって普通は言わない方が良いんじゃない?」


「じゃあ、聞かなかったことにしてくれ」


「いや無理でしょ」


思ったより普通の女子だなと思った。俺の中でカースト上位にいる女子は皆自分に自信があって、プライドが高いイメージがある。(瀬川に関しては遥輝が何かして小動物みたいになったけども。)

 話してみると、結構話しやすかった。


「そういえばさ」


「何?」


「拓人って結構顔良いよね」


「バカ言え。俺が持っているなかでランクが高いものはせいぜい陸上が強いのと頭の良さだけだ」


「あ~、彼女にバカって言った~!でも、頭が良いって自覚あったんだ。足が速いのも意外。あれ?拓人って確か、50メートル走クラスで真ん中あたりの記録じゃないっけ?」


「俺が頭が良いのは周りに散々言われてきたしな。それに塾に10年以上通い続ければそうなる。50メートル走に関しては、俺が走るのが面倒臭くて本気で走っていないだけだ」


「嫌みだね~因みにどれくらい速いの?学級一位っていうか学年一位の記録はは遥輝くんの6.11だけど。ほんと速いよね~ダントツだったもん」


 遥輝も速くなってるな。でも、まだ俺の方が速い。


「俺の最高記録はそれより速いぞ。6.02だ。この記録は俺が中学の時に特設駅伝部に入っていたとき、コーチに図ってもらったものだから、ほぼその通りだと思う」


「え、マジ?はっや!ちょっと待って今ネットで日本記録調べる」


「日本記録は確か5.75だぞ」


「ほぼ同じじゃん!」


「0.27も違うだろ。全然違う」


 そうだ。陸上の世界では全然違う。一緒にしてもらっては困るというものだ。


「そんなの誤差だよ誤差!じゃあ1500メートルは何分?」


「確か4分弱だったはずだ。3分50秒とか、そのくらいだったはずだ」


「うわ、最近の最高記録で3分37秒だ。ホントに速いね」


「俺は跳躍系の方が得意だぞ。走り高跳びは2m10cm跳べるし、立ち幅跳びは2m83cmが最高記録だ」


「とんだ化け物が近くにいたよ。でもさ、それだけ有名なら何で誰も拓人に注目してないの?」


「こんなぼっちには興味ないんだろ」


「そうかな?多分、それだけじゃないよね?」


「…………さあな」


「拓人、こっち見て」


 言われた通り軽く春川の方に振り返る。すると、


「わぶ!……にゃにをしゅるんですか(なにをするんですか)」


「陸上の話で誤魔化されたけど、やっぱり拓人ってイケメンだよ、それもかなりの」


 そんなわけない。幼馴染みからはブスと言われ続けてきたんだぞ。


「はあ……。じゃあ、そういうことにしといてくれ。と、着いたぞ」


「そうだね。じゃあ、私の彼氏さんには私の新しい服を買ってもらおうかな!」


「わかった」







「お買い上げ、ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」


「いえ」


 春川の服を数着買った俺は春川の所へと戻った。


「ねえ」


「何?」


「お金持ってきすぎじゃない?デートに5万も持ってくるってちょっとおかしいんじゃないかな?」


「そうか?」


「拓人って、いろいろと周りと感覚ずれてるよね」


 そうか?小さい頃はまわりと関わった事がほとんど無かったから分からない。


「少し金に余裕があっただけだ」


「両親からお小遣い貰いすぎじゃない?」


 春川は何となくその言葉を言ったんだろう。


「俺に両親はいない。高校に上がるときに二人とも交通事故で死んだ」


「あ………ごめ……えっと…その」


 かける言葉が見つからないって感じだな。

 悪いことを言ったと思ってる顔だ。


「気にするな。片方は実の親じゃないからな」


「え?」


「俺には義理の妹がいるんだが、その父親と俺の実の母親が再婚したんだ」


「妹……いたんだ。義理の妹……」


「そうなんだよ!美久って名前で今中学三年なんだが、俺のことをとても慕ってくれてるんだよ!少し前は反抗期で全然相手にされなかったんだけどな!」


「わお。メチャクチャ喋るね」


「おっと……すまん」


「ううん…良い妹さんなんだね」


「ああ、冗談抜きで、俺には勿体ないくらいの最高の妹だ。さて次は……」


「まだどこか行くの?」


「まあな。次で終わりだ。映画を見るぞ」


「そう、映画鑑賞だ。これもネットに載っていた。……これも言っちゃダメなヤツだったな」


「フフッ……良いよ、もう。じゃあ、映画館行こう!」


 そう言って、春川は俺の斜め後ろではなく、俺の手を引っ張るようにして小走りで多くの人が行きかう東京の道を進んでいった。




━━━━━━━━━━━━━━━━━

 どうも、作者のそんなバナナです!

 更新が遅くなって申し訳ありません❗️(スマホが壊れて修理に出したのですが、予約が殺到していてかなり遅れました)

 このエピソードは完全に私の想像でございます。因みに私の50mは6.20ジャストで、1500mは4分50秒弱です❗️立ち幅跳び私の最高記録に25cm足しました。走り高跳びは背面跳びで跳んだときの自己ベストに35cm足しました。背面跳びを許可なく試したら、授業の担任に放課後30分間みっちりしごかれました。

 主人公が陽菜ちゃんの服を買っているときの話は、また次の機会があったら、書こうかと思います。

 読者の皆様、二人の関係が変化していくのを少しでもこのエピソードで感じられましたか?私の頭の中では大体40話あたりまで構想が出来上がっています。大きいイベントが一回ほどあると思います。それでさらに二人の関係が変化します。その後もちょっした波乱を起こそうかな~~なんて思う今日この頃です。

 二人のデートで何かしてほしい展開などがあれば、応援コメントを通じてお知らせ下さい。善処します。

 引き続き、本作品をお楽しみください❗️

       そんなバナナ より

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る