ドッペルゲンガー

「眩しい〜」


この眩しさは2回目では到底慣れようがないものだと思った。


「今度はさ、もうちょっと遠くまで行ってみない?」


3年前は路地を出た周辺をうろついただけで終わったようなものだったから、今回はもう少し遠くまで行こうと言うのだ。


「いいけど、私朝ごはん食べてないからコンビニでなんか買ってかない?w」


「もう〜寝坊してもちゃんと食べないとダメだよ〜」


少し歩いたところに見えたコンビニに入り、朝ごはんを選んだ。


もう11時だけど…


「私ちょっとお手洗い借りてくるね」


「はーい」


そう言って美咲はトイレに駆け込んで行った。


その間にパンとお茶を買い終わってしまった私は、中に残るのも店員の目が気になるので外で待つことにした。


「遅いなぁ…」


そう呟きながらパンを食べていると、道の反対側を学生が歩いてるのが見えた。


見覚えない制服だなぁと思いながらその学生を眺めた。


目を疑った。


よく目を凝らして見ると、それは紛れもなく美咲の姿だったのだ。


でも、3年前の大人しいまま大きくなったような、さっきまでの美咲とは少し違う雰囲気がある。


全く知らない学校の制服を着た美咲はこっちに気づくことなく歩いて行った。


「(でも待って…美咲ってまだトイレの中のはずなのに…)」


「何ぼーっとしてんの?」


「うわっ!!」


いきなり後ろから、美咲が私の肩に手を置いて耳元で尋ねてきた。


「え…あれ、えぇ?」


「どうしたの?パンになんか入ってた?」


まだ頭の中が混乱したままだった。


「ねぇ、何かあったの?」


どう答えたらいいかわからなかった。


「え、いや、」


「何かあったなら言ってよ」


「いや、美咲が、もう1人…」


「どういうこと?」


「いや私もわかんないけど、」


その後、近くにあった公園に場所を変えて、さっき見たこと、起きたことを全て説明した。


「ーーー…ってことなんだけど…」


「うーん…でも私ずっとトイレにいたけど」


「でも確かに見たんだって!」


「だって私がもう1人って…」


「ドッペル…ゲンガー的な…?」


「いやでも流石にそんなはずはないと思うけど…あっ」


「どうしたの?」


「覚えてない?ほら、3年前の…」

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