12月18日 洞窟の国のミニ聖剣

 久しぶりの空の街イエルです。冬の祝祭までもう一週間を切っていますから、あちこちにそれらしい飾りつけが見えますね。


 けれど、洞窟国家であるこのヴェルトルートは、洞窟なので真冬でもそんなに寒くありません。気温は年間通して15℃くらいですね。雪景色が見られないのは少し残念ですが、住みやすい土地です。


 さて、空玉はもう手に入れましたから、今日はいかにもなお土産品を見に行きましょうか。レヴィガウル暦が始まって以来、勇者を何人も輩出してきたこの国ならではの「岩に刺さった聖剣のミニチュア」です。こういうの、旅先で見ると地味に欲しくなりませんか?


 穴の空いた灰色の小石に、大人の人差し指くらいの長さの剣が刺さっています。柄は青銅、刃はガラスです。そう、聖剣は銅と水晶の合金と言われるオリハルコン製なので、刃が赤みがかった半透明なんですよ。それを、淡い赤色のガラスに金属を蒸着させることで表現しています。ほら、虹色にキラキラするビー玉があるでしょう? あれと同じ技法です。


 そんなこだわりの聖剣、もちろん岩(小石)から引き抜くことができます。これであなたも神に選ばれた勇者様ですよ!


 これはただのミニチュアですが、他にも聖剣型のペンと岩型のペン立てのセットとか、小さなガラスのストラップになっているものとか、剣型の傘と傘立てとか、自前の剣を突き刺せる剣立てとか、色々ありますよ。ほら、あの騎士様は剣立てを買おうとして、重すぎて困っていますね。本物の岩なので、もし買うおつもりなら持ち帰る方法はよく考えてください。馬には乗せられませんよ。


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