第15握利 龍平くん家の塩田くん。

 『にぎめし』の朝は早い。開店が四時なので、椿つばはいつも二時前には起床している。

 今日も目覚ましをかけずに二時前には椿佐は起き、顔を洗って髪をかすと、黒地に白猫柄のダボシャツを着てまえけをつけ、捻り鉢巻を頭に巻いた。


 自宅の二階から店舗の一階に下りると、釜で炊いたご飯を木製しゃもじですくい、手に載せた。


「あっつ!」


 炊き立てのご飯をふんわり握り、軽く塩を振って一口食べた。椿佐の朝ご飯はいつも塩握りだ。


「んっ、今日も上手く炊けてるなっ」


 熱々塩握りを食べ、炊き具合を確認した椿佐が手を洗っていると。


「ん?」


 ピロリンッと、スマホが鳴った。

 手ぬぐいで手を拭き、保前掛けからスマホを取り出すと、ロック画面に。


OINEオイン 今

 立宮たてみやざい(株)があなたを電話番号で友達に追加しました。』


 と、出ていた。


「立宮機材!?」


 椿佐が驚いていると。


 ピロリン。


『OINE 今

 立宮機材(株)

 突然、夜分にすいません。しおです』


「塩田? ああー、あの気弱そうな奴か」


 ピロリン。


『OINE 今

 立宮機材(株)

 無事に就職できました。あの時はありがとうございました』


「よかったじゃないかっ」


 椿佐が返事をしようと、OINEを開く間もなく。


 ピロリン。


 メッセージは送られてくる。


『OINE 今

 立宮機材(株)

 広報担当になったんですが、何をすればよいのでしょうか』


『OINE 今

 立宮機材(株)

 不安で夜も眠れません』


「はははっ。ツッコミたいこといっぱいあんなー」


 椿佐は番号をタップして、ロック画面を解除するとOINEを開いた。

 そして、友達追加の所を開く。


『 友達追加

 知り合いかも?(1)


 立宮機材(株)

 電話番号で友達追加されました。 追加』


  『追加』を押し、友達に追加すると、『トーク』を押し、立宮機材(株)をタップして、メッセージを打ち始めた。


『握利飯を追加してくれてありがとうございます』


 会社同士のやり取りなので、最初は丁寧に返し。


『でも、あたしだからいいが、普通この時間は、みんな寝ているからな? あと、それ会社のOINEだろ? 社長に怒られないか?』


 と、椿佐として返信した。すると。


 ピロリン。


『え……? あ、本当だ! 自分のと間違えたー!』


 焦ったメッセージが送られてきた。


「はははっ! どんだけ、ドジなんだよ!」


 笑いつつ、椿佐は返信した。


『心配すんな。立宮の親父さんは顔は怖いが、優しい人だ。ちゃんと謝れば大丈夫さ』


 ピロリン。


『クビにならないでしょうか……』


『一生懸命働く、真面目な奴には優しい人だから、大丈夫』


『うぅ……、本当に何から何まですいません……』


『いいっていいって。また食べに来てくれなっ』


『はい……。おやすみなさい』


 やり取りは終わった。


「今から寝るのかよっ」


 最後のメッセージに、椿佐はまた笑ったのだった。


−−−−−−


 あとがき。


 おにぎりも、龍平も出てこない話ですいません(苦笑)


 塩田、就職できたってよ、と、お伝えしたく。


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