第6話 怪獣

ドシーン、ドシーンと外を大きな怪獣が歩いている。


今は夜中の三時。月は世の中から姿を消してしまっている。僕は大きな音で目が覚めた。どうやらまた眠れそうにない。


今出来ることは、息を潜めて怪獣から姿を隠すことだけだ。絶対に刺激してはいけないし、絶対に見つからないように、大きな音を立てないように注意する。決して覗いてはいけない。もし気付いてしまったら怪獣は僕の頭をまるごと食べてしまうだろう。カーテンを閉めて外を見ない。怪獣が通り過ぎるのを待つのだ。

体は硬直し、目は閉じれず天井のすみを見つめている。呼吸に集中し、ゆっくりと静かに息を吐く。怪獣の足音が小さくなっていくのを感じる。言い方は悪いが怪獣は獲物を探して物色しているのだろう。狙われるのは騒がしいやつ、慌てるやつ、パニックになるやつだ、たぶん。いつものように、暫くしたら諦めていなくなるはずだ。


怪獣の足音が聞こえなくなってきた。僕は緊張がほどけて少しうとうとしていたようだ。その時である。


きゃーーっつ


突如女の子の叫び声が聞こえたような気がした。

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