第8話 元気な君

 彼女が一週間こなくて心配になりメールを送ることにした。


『体調悪いの? 大丈夫?』

 

 メールを送った五分後に携帯の通知音がし、僕はすぐに携帯を開いた。


『全然平気! 少し風邪引いただけだよ!』


『それならよかった』


『心配してくれたの? ともやくんが優しいの珍しい笑』


『君がいないと部室に同学年がいなくて気まずいだけ』


『素直じゃないなあ笑 明日は行くから安心して』


『わかったよ』


 次の日放課後部活に行くと彼女は何事もなかったかのようにきていた。いつも通りすぎて本当に風邪だったかもあやしい。


「ともやくん! 久しぶり! 気まずい思いさせてごめんね」


「余計なこと言わなくていいから」


 僕たちの会話を見て部長と副部長も笑っている。なんだか懐かしい気分だった。そんなことを考えているとあっという間に帰る時間になった。僕は彼女と二人で駅に向かう。


「そういえば修学旅行来週だね! 自由行動で行く場所きめた?」


「僕の班は適当に清水寺あたりをうろうろする予定かな」


「私たちも! 奇遇だね!」


「いや定番だから結構被ると思うけど」


「まぁそうだけどさ! ともやくんはとくにしたいことないの?」


「ないかな」


「じゃあ少し一緒にまわろうよ! 班を抜け出してね」

 

 彼女はニヤニヤしながら提案してきた。


「さすがにきびしいんじゃない?」


「大丈夫大丈夫! どうしてもしたいことがあって」


「なんか変な企みしてそうだね。ちなみに何したいの?」


「それは当日まで秘密! お願い!」


「わかったよ。一応これでも僕の命の恩人だからね」


 恥ずかしくて言葉には出さないが君のわがままには付き合うつもりだ。僕に生きる楽しさを教えてくれたから。


「やった! 楽しみだね!」


 その後も駅に着くまで修学旅行の話題は続いた。八ツ橋を食べたい、奈良で鹿にせんべいをあげたいなど思った以上にしたいことがあり、それを全部行うと張り切っていた。僕とは対照的にやりたいことがたくさんあって羨ましい。

 僕も少し調べてみようかな。

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