第5話 修学旅行前

 授業が終わり、僕は部室に向かった。文芸部に入ってから週に三回活動があるため、授業が終わってすぐに帰ることは減った。

 部室に着くと悩んだ姿の伊藤ありさだけがいた。

「ともやくんおつかれ!」


「どうしたの? 柄にもなく考え込んでたけど」


「相変わらず失礼だね、修学旅行の班決めがなかなか決まらなくてね。五人班作らないとなんだけど、私たちの班まだ四人しかいないんだよね」


「あと一人誘ったら揃うじゃん」

 

「他の子たちも同じ感じでグループ作ってるからそんな簡単に決まらないの!」


 確かに中学の時も女子は班決めで揉めてたんだった。なんですぐに決まらないだろう。男子である僕には理解できなかった。


「もうともやくんこのグループはいってよ」

 彼女は足をバタバタさせながら無理なお願いを言ってきた。


「伊藤さんと同じ班は問題起こしそうで嫌だな」


「ともやくんにいわれたくない!」

 そう言いながら彼女は僕の事を睨んできた。


「ごめんごめん、でもそれさえ決まれば解決だね」


「あとは着ていく服の問題もあるよ!」


 それこそなんでもいいんではないかと僕は心の中で思った。しかし、それが表情に出ていたのか彼女からは見透かされていた。


「いまそんな事でみたいに思ったでしょ!」


「少しだけだよ」


「まったく! 修学旅行すごい楽しみな分、考える事多すぎるよ」


「修学旅行ってそんな楽しいかな?」


「もしかして楽しみじゃないの?」


「そんなにかな。まぁ授業なくなるのは嬉しいけど」


「ともやくんは深刻だ…私がともやくんをたのしませるよ!」

 そこには彼女らしいいつもの笑顔があった。相変わらず彼女は何をしても楽しそうにみえる。


「いやそもそも伊藤さんとクラス違うし」


「せっかくの修学旅行でともやくんが問題起こしたら心配だもん! そうだ! 明日の放課後ひま?」


「ひまだけどなんで?」


「修学旅行の服とか買いに行きたいから付き合って!」


「まぁいいけど…誰かに見られたら勘違いされない?」


「そんな周りのことばっかきにしてたらストレスたまるよ! 気にしない気にしない! じゃあ決まりね!」

 彼女はそう言うとすぐに予定を決めた。

 

 その後は先輩たちが部室に来ていつも通り各々小説を書いたりしていた。僕も最近は小説を書くようになった。

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