第18話 契約

俺が戻ってきたときには傭兵達は既に傷口を晒しており、それらは全て化膿している状態だった。


セバスがそれらをナイフで切り取っている最中で俺は思わず吐いてしまいそうになった。


「ルークよ。傷の手当は儂らが行う。レッサーポーションをそこにおいてルークは孤児院に戻っておれ」


俺はじいちゃんの指示に従い、孤児院の中に戻った。がやることが何もなく退屈だった。


そんな時間を持て余して十五分。じいちゃんたちが戻ってきた。


「傭兵達は家で護衛を引き受けてくれることになった。顔合わせをする前に商隊から必要な物を買い取らなければならん。それぞれいつも通り大人について買い物を楽しんでくれ」


俺は強化出来るものにしか興味がないため、商隊の品物を物色することはほとんどない。しかし、護衛ができたということで体を鍛えることにも少し興味が出てきた。と言うわけで剣を物色してみたのだが俺に扱えるサイスの剣は見つからなかった。


そうしているうちに商隊は帰る時間となり、レッサーポーションを積んで去っていった。


次は護衛となった傭兵団との顔合わせだ。まずはじいちゃんがこの孤児院について説明する。


「この孤児院はのぅ。各地から神技【合成】を持つ者が集められた孤児院なんじゃ。不遇扱いを受けている【合成】を今は研究している最中じゃな。それで出来上がったのが効果の高いレッサーポーションと言うわけじゃ。そして、そんなものを売っているため今後、教会と衝突する危険がおおいにある。そこで護衛を雇ったというわけじゃ」


「で、その護衛の団長が俺、グレイスだ。他の面々は生活を共にする上で覚えていってほしい。傭兵達が何かをやらかしたときはまず俺、もしくはそちら側の大人に報告するようにしてくれ」


「それと、これからはレッサーポーション作成の他に剣術の訓練時間が追加される。子供たちにはちとばかし過密なスケジュールじゃと思うが生きていく上では必要な訓練じゃ。みんな真剣に打ち込むようにのぅ」


孤児院に住まう人数が大幅に増えたため、じいちゃんの指示で孤児院を大きくするようになった。これも子供たちの仕事となり、限界まで合成を使って部屋を追加していく。最後まで立っているのはいつも俺なので、気絶した子どもたちをおぶって寝室まで運ぶので筋肉がついてきた。


三日に一部屋のペースで部屋を追加して二か月でようやく傭兵達の個室が出来上がった。その間にも食事を作る係の人や部屋を掃除するメイドなど様々な傷を負った人がやってきているので俺たちが部屋を作ることを休むことができるのはかなり先のことだろう。

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