第7話 魔力水

地面に座り込んで考え込んでいると、じいちゃんがやってきた。


「ルークや。悩む時間があったら今日の分の部屋の修繕を終わらせてしまいなさい」


「でもじいちゃん。木材が届かないから修繕の速度を抑えてってセバスさんに言われたよ」


「抑えるだけで止めろとは言われておらんじゃろ。一日に部屋一つで構わん。そのうちに違うものを合成する準備を整えておくから行ってきなさい」


そう言われ、俺は立ち上がりまだ修繕が終わっていない部屋へと移動した。


しっかり二時間かけて修繕をして眠りについていた俺が起きた時にはいつも通りじいちゃんが近くにいた。


「ルークよ。今日はポーションを作ってもらうぞ。レシピは儂が知っておるから合成で作れるか試してみよう」


そう言いながらじいちゃんは俺の手を引いて玄関から外へと出た。来た時には一面雑草だらけだった庭はきれいに整えられ、何やら薬草らしきものが植えられている。


そこには庭をいじっているジョーンズの姿があった。


「ああ。坊ちゃん。起きたのか。今日からポーション作りをするっていうんで薬草の準備をしておきましたぜ。しかし、伯爵様この薬草ではポーションの劣化版しか作れないって噂ですがよかったのですかい?」


「伯爵様はやめろ。儂はもう爵位を持っておらん。これからはロイドと呼んでくれ。敬称もいらん。そして薬草はそれで構わん。どうせ普通のポーションを作ろうと思えば教会が出しゃばってくるに決まっておる。そうならないためにその薬草を選んだのだからな」


「ねぇ。じいちゃん。ポーション作りを始めるのは今日決めたことだよね?それなのにこんなに立派な薬草園をすぐに作れる物なの?」


「それはな。ジョーンズの神技である育成の力じゃ。植物限定ではあるが成長を促しおる」


説明されたジョーンズは明らかに照れていたが、それに見合うだけの仕事はしていた。


「じいちゃん。ポーションを作る材料には薬草だけあればいいの?」


「いや。魔力水という水が必要だ。今日はそちらから作成してもらう。魔力水は教会が独占しておるから自分で作らなければ手に入らないのじゃ。薬師での作り方は分かっておるのじゃが合成での作り方は分からん。試しに薬草の隣に植えてある魔力草の魔力と水を合成してみるのじゃ。魔力草は貴重な薬草だから魔力を必要な分だけ使うように気を付けるのじゃぞ」


俺はポーション瓶に水を汲み、魔力草の魔力と言う曖昧なものと水を合成させてみた。


「うーむ。失敗じゃの。使った魔力が多いわい。次は違う魔力草から魔力を貰ってどんどん魔力水を作っていくのじゃ」


そうして俺は、じいちゃんの言う通り気絶するまで魔力水を作ることに専念した。

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