第18話 ~深夜の清掃パート編(2022年12月12日のお話)~

2022年12月21日更新


2022年12月12日。深夜の清掃業務のパート職の会社へ契約を交わすために訪問した。契約書を一読して署名し正式にパート職での契約を交わすことになった。

商業施設内のトイレや共用部の掃除が主な仕事らしい。初日勤務は12月14日の深夜0時から。好青年の爽やか副所長と面接の時依頼、顔を合わし入社に必要な書類関係の受け渡しを行った。

そしてユニホームの上下を3セット支給された。清掃業は汚れるから3セットも渡してくれたのかなと思った。


もう一度私についての現状を整理しておく。私は現在42歳の男性。2023年1月には43歳になる。妻と子供が二人いる。小学生2年生の男の子と幼稚園年長の男の子だ。妻は週4日パート勤務をしてくれて、月に80000円前後の収入がある。家はマイホームでローンがあと30年残っている。私が72歳になったら完済することになる。現在私の貯金は70万円ほど。マイホームを6年前に購入してから一向に貯金ができない。恥ずかしい話だが、今年の夏ごろから両親から月に一度10万円の資金援助を受けている。大学を卒業し、その後英語の専門学校に2年間通った。これまでに転職した数、約20社。2022年だけで正社員の会社を5社辞めた。バイトも3社辞めた。今年は自殺未遂騒動を二度犯した。精神科に一か月に一度通院している。5年前に抗うつと診断された。今年転院した精神科からは、発達障害の疑いが強いと言われた。認知行動療法の治療(カウンセリング)も並行して行おうと現在、紹介状の発行を待っている状態。

そして新たに今回、清掃という初めての業界に飛び込もうとしている。精神科の先生、認知行動療法の機関のカウンセラーから、コミュニケーションを必要としない仕事、単純なルーチンワーク的な仕事をするように勧められたので、清掃の仕事をしている方には失礼かもしれないが、偏見だが簡単な仕事に見え私にもできると思ったのでこの業界に飛び込んだ。


今日も副所長から「清掃なんて誰でもできますよ!一緒にがんばりましょう。仕事で一番嫌なのは人間関係だと思うんですよ。私も経験があります。その点、うちはみんな自分の世界で生きている人ばっかりだからそういう人間関係の煩わしさはないと思うんで。心配しないでください。何かあったら言ってください」と激励をもらった。そして勤務予定表を見ると、最初の2日間は一日おきに休日がある。はじめは無理しないようにとの配慮が感じられた。

なんとなくこの会社なら続けられるかもしれないと自分の気持ちが軽くなっていくのを感じた。もちろん、仕事が始まればまた気が変わるかもしれないが。もはや自分には失うものはない。


去年の年収は555万円だった。それが時給1100円。深夜の0時~朝の8:30までの勤務で休憩が90分あるから実働7時間。0時~5時までは深夜手当により時給が1485円になるので一日働けば約9400円。週休2日だから月に額面で20万円ってとこだろう。先週までは人生堕ちるところまで堕ちたと絶望を感じていた。マンションから飛び降りようともした。しかしもうこの現実を受け入れるしかない。一歩一歩進んでいくしかない。

お世話になっている就労支援センターの職員の男性は、元官僚で前職は大物政治家の秘書だった。それがうつ病を発症して現在は、就労支援センターの契約社員で一年ごとの契約だ。ものすごい収入ダウンだったろう。プライドもズタズタに引き裂かれたろう。

それに比べれて、私など、たかが役職のない普通の正社員の人間がパートになっただけの話だ。たいした事はない。

この清掃会社を選んだ理由は清掃する商業施設がまだ10周年なので綺麗な事。トイレもよく使うが綺麗だ。雨の日でも濡れない事。そして一年パートを続ければ正社員雇用がある点だ。正社員になれば、賞与が2.5か月分もらえると言われた。住宅手当、家族手当もある。

とにかく、仕事が長続きしない自分にとってはまずパートでもいいので働く事を継続する実績と自信がほしい。フルタイムで働く癖をつけたい。生きるのだ。そして働くのだ。今の自分のできる事で精一杯社会貢献するのだ。そして国民の義務である納税をするのだ。そして家族を養うのだ。失業して無収入にならない事だ。両親を失望させない事だ。


とりあえず一歩を踏み出した。

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