第2話 起床

「お……起……起き……起きろ!ジャナイ」


 煩いなぁ。もうちょい寝かせ「バシッ」って痛いわ。何だよ、随分と乱暴な……


「ふわぁぁぁ……航汰だな。もう少し優しく起こしてくれよ。俺はお前と違ってんだぞ」


 叩かれた痛みもあってか、意識がゆっくりとだが戻ってきた。

 ……ん?俺は何故に床で寝ているんだ?


「ジャナイ君、寝惚けてる場合じゃないんだよ。僕も正確に理解は出来てないんだけど、どうやら僕達は異世界に召喚されたらしいんだ」


「あぁ、間違いない。気持ち良さ気に寝ていたジャナイには分からないだろうが、授業中に目が眩む程の眩しい光に包まれたんだ。それが収まったと思ったら俺達は教室じゃなく此処に居た。夢でもドッキリでもないぞ。周りを見てみろよ」


 ふむ、崇斗と航汰が意味不明な話をしている。俺も異世界ものは嫌いじゃない。寧ろ、事実ならウェルカムな展開なんだが……


「オケ。んじゃ、崇斗が勇者、航汰は剣聖として召喚されたんだな。実に頼もしい。では異世界を頼んだぞ。って事で、俺は二度寝タイムに……」


 ボゴッ。くぅ~さっきより攻撃力が増した。


「いや、ガチで目を覚ませよ!んで、しっかり周りを確認しろぉぉぉ」


 大事な事だから二回言うってあれか?

 本当に煩いなぁ。

 ってか、マジで殴られた頭が痛過ぎる。

 仕方ねぇ……起きるか。


 豪華な装飾が施された大広間。壁沿いには全身鎧を纏った見るからに屈強そうな兵士達。内装に似合った派手派手しい服装の男達。彼らは如何にも貴族様って感じだ。


 正面中央の豪華な椅子に座っている王冠を被り長い白髭が特徴の老人。こいつが王様で間違いはないだろう。一段下がった両脇の椅子に座る綺羅びやかなドレス姿の女性達は王妃とか王女ってとこか。


「理解できた?」


 航汰の隣で腕を組み仁王立ちする女生徒。


「お前も転移したのか……美咲」


「えぇ、見ての通りよ。崇斗と航汰は貴方の想像通りの役職で。私は聖弓師、夏鈴は錬金術師だったみたい。貴方を含めた五人のみよ。他のクラスメイトはいないわ」


 茶髪で腰まで伸びるポニーテールが特徴のスレンダー体型の美咲。その隣には眼帯を付けたショートボブの夏鈴が見える。一応、怪我をしてる訳ではないと特記しておく。


「ん、ワイは錬金術師。天職♪」


 一人称がワイな時点で察して欲しい。


「そうか。で、その役職は鑑定でもしてもらったのか?それとも王道テンプレのアレか?」


「それね。夏鈴が真っ先に試したわ」


 おぅ……そうか。まぁ、簡単で助かるな。

 んじゃ、俺も魔法の合言葉を


「ステータスオープン」


 俺の眼前に半透明の板が現れて、ステータスが表示される。



【名 前】 ジャナイ

【年 齢】 15歳

【種 族】 人族

【職 業】 付与術師

【性 別】 男

【属 性】 全属性


【レベル】 1

【H  P】 45

【M  P】 128

【体 力】 8

【筋 力】 12

【敏 捷】 7

【知 力】 25

【魔 力】 34


【スキル】 付与魔法(黒)・全属性魔法(橙)

      鑑定(黒)



 ん?名前の欄……




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