『ねえ、オーギュスト』 詩

 随分と不安げに見えるわ

 ねえ、揺れるオーギュスト


 どうしたらいいか分からないのでしょう

 だからそうして言葉を重ねている



 核心を突いてごらんなさい

 ねえ、弱いオーギュスト


 問うことすらも怖いのでしょう

 だからそうして哀れに震えている



 己に力があると信じている?

 ねえ、愚かなオーギュスト


 そうしないと消えてしまいそうなのでしょう

 だからそうして踊り続けている



 おどけた仕草の道化師

 自分すら欺く化粧を塗り重ね


 必死に列ねる言葉の裏に

 動揺を隠しているつもりなのね



 その言葉が届くと思う?

 ねえ、小さなオーギュスト


 おのれの愚を知らないのでしょう

 だからそうして失敗する



 ねえ、オーギュスト

 さようならと言ったでしょう


 もうおめなさい



 だからオーギュスト

 止まらぬ言葉を宥めて静め


 もう、お眠りなさい

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