最強の英雄王の妹もじつは最強でした  教師やってるけど逸材を育て上げてしまいそうです

吹詩 緋影

第0話 妹は担任を持つことになる

 ここは大陸の中央に位置する小さな国、レスターヴ王国


たった3年ほど前にとある少年がこの国を作ったのだ


その少年というのは、魔神大戦と呼ばれる1000年に渡る大戦争に一矢報いた英雄のことである


魔神大戦での人類の戦果はこれといったものがなく、上手くいって魔族数体の討伐と

いったものである


そして現代、サリア・レスターヴが魔族の幹部を討伐することに成功した


サリア・レスターヴはその後、英雄と呼ばれ平和な時代の象徴となった


この物語はそんなサリア・レスターヴの妹のわたしの話である


      ◆◆◆


 ”コケッ!コケケケッコッコッッッー!!!!”


春の陽気が立ち込める晴れやかな朝


けたたましいアサドリの餅丸の鳴き声で目が覚めた


…なにか悪いですか?ペットの名前が餅丸なのがですか?可愛いでしょうが


それはさておき、私の名前はシア・レスターヴと言います


新たにこの国を建国し、王となったサリア・レスターヴの実の妹である


今は実家住まいで魔法学園で教師をしています、といってもこの春からなんだけどね


兄が王様になっても生活は変わらなかった。兄が王になったのは3年ほど前だがこれといった変化はない


周りからの見られ方が変わったくらいかなぁ…


服を着替え、魔法学園教員の印であるローブを身に着けながらそんなことを考える


ぼんやりと考えながら用意をしていると小屋から餅丸の鳴き声が…


”コケコケコケコケッッッコケェッッッ!!!!オエッ…”


…うん、朝食より先に餅丸がダウンしそうなので救出しなくては

 

 

 餅丸を鳴きやませてから朝食にありつく


餅丸はなかなか手間がかかるけど可愛いやつなんだよ?1回見てみると良い


朝日を身体いっぱいに受けながら食べる朝食は格別に美味しい


そんなゆっくりしてても良いのかって?これが大丈夫なんだよ


だってまだ午前6時だもん!教員室には8時半に行けば良いしね


はぁ〜〜淹れたてのコーヒーが染み渡るぅ


親すらも起きていない時間帯の朝は悪い事している気がするね〜


すっかり自分の世界に入りきって時間のありがたさを感じながらゆっくり過ごす


      ◆◆◆


 そんな時間も終わり魔法学園へと出勤する。これでも社会人なんです


「おはようございまーす」扉を開けて教員室に入り、自分の席につく


みんなとっくに集まっている様子で自分だけ遅れてきたかもしれない、なんて思った


席についてまもなく学長がわたしの席に向かって歩いてきた


やっぱり遅れてきちゃったのかな?やばくない?やばくない?


え、もしかして怒られるのかな…学長はわたしの前で止まる、わたしは焦る


だが、かけられた言葉は叱責の言葉ではなかった


「シア・レスターヴ君、君に新入生の担任を務めてほしい」


以外だった。わたしのような新任が担任を務めれるような場所ではないからだ


「な、なんでわたしが担任なんでしょうか…?他に優れた教師がいると思うのですが…」


「ん?簡単なことだ、君が一番適しているからだ」意味のわからんことを言ってきた


「それはどういう……」「君がサリア様の妹であり、実績も問題ないからだ」わたしが言い切る前に言った


実績…?わたしのしたことなど兄に比べれば大したことないのになぁ


まぁ任されたからにはやらなくてはだね!


「わかりました。その役目務めさせていただきます」そういうと学長は満足そうに帰っていった


それにしても担任か…果たしてわたしに出来るのかなぁ?



焦りに焦った朝が終わり、わたしは学園内にある休憩室にいた


ここはコーヒーを飲んだり昼食を取ったりできるとっても良いところだ


「あの…シア先生ですよね?」コーヒーを手に取りくつろごうとしたとき誰かに呼ばれた


「はい そうですけど、なにか用事ごとですか?」その返答に対し相手は面食らった表情になる


「い、いえ!おっお友達になりたいななんて思って…」ほほう、まさかそんなことだったとは


今までそんな物好きは1人を除いていなかったからびっくりした


「もちろん良いですよ、あなたのお名前は?」


「私はリリア・フォードルトと言います。これでも小貴族なんですよ」


なんか貴族の人と友達になっちゃった


「貴族なんですね!びっくりしちゃいました、よろしくおねがいしますね」他愛のない言葉で返す


「は、はいい!」一つ一つが可愛らしくてうさぎみたいな女の子だ


「良かったら一緒に休む?」なんて言葉をかける。友達なら当然だしね


「それが……恥ずかしいことにプリント整理を抜け出してきたものでして…せっかく誘ってくれたのに…」


「それじゃしょうがないね、頑張ってね!また今度一緒に休んだりしよう!」


「はい!もちろんです!!」リリアは満足そうに休憩室から出ていった



春の陽気が感じられるこの頃、中庭で本を読む習慣をつけようと思った


担任を持つからにはそれなりに素行も大事にしないといけないしね


魔法学園に入学できるのは12歳から、そして5年間魔法の勉強を続け17歳で卒業する


わたしの年齢は16歳であり、飛び級で卒業したため一部(今の最高学年の人達)には嫌な目で見られるだろう


まぁだって同い年の奴に授業されるなんて屈辱以外のなんでもないからね


こういう考え持ってるところが嫌われるポイントなんだけどなあ、直さないといけないや


違うことを考えてきたらだんだんまぶたが重くなってくる


午後の陽気に当てられてついついウトウトしてしまう


本を読むことなどすっかり棚においてしまって眠気に負けそうになる…むにゃ…



目が覚めた。気づけばすっかり日も暮れて夕日が見えている


しまった完全に寝すぎてしまった


教員室に戻らないとな、と荷物を持ちベンチから立ち上がる


教員室に戻るとなにやら教員たちが集まって話をしているようだ


何をしているのかとリリアに聞くと、学長達がクラス分けの作業をしていると教えてくれた


気になるので少し覗いてみる。一応担任を持つわけだからね


見ると”1年1組 担任 シア・レスターヴ  出席番号1番 ファルカ・ライデイン”と書いてあった


ファルカとは今回主席で入学したライデイン王国の第一王子である


え、主席入学のやつがなんでわたしのクラスなんですか?嫌ですって


だって怖くない?責任重大じゃん。しかも一国の王子とか……


今から考えてもしょうがないのでその事実から目を逸らすことにした


入学式は明日、明日から未来ある子供達が入学してくる


明日からかぁ……楽しみだね、どんな子達が来るんだろ


期待に胸を膨らませながら教員室をあとにした

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