俺は運がいい
@dice11
第1話 人は人らしく
「『はぁっ はぁっ はっぁ』」
薄暗い明りの中、男女の息遣いが聞こえる 。酒場の二階、
『嫌だったら言えよ』
急に男が声を出す
「?っっ何を、、、むぐぅっ」
『このまま出すぞっ嫌なら言えっ』 「んーっ!んーつ!」
-------------------------------------------------------------------------------------
「もうっ!びっくりしたじゃない!」
『ははっ どきどきしただろう? 』「あんた、怖くないの」
『加護ってやつで、病気も怪我も基本ないからな、心配ないさ』
「そういうこと言ってんじゃないのっ責任の話よ」
『まぁそれはね、、、』口ごもる
「冒険でしょ、明日から?」 女は困った男を助けるように話題を変える
『ああ日が昇る時刻に門だ』「今度は何?」 『ゴブリンとオーガだな。結構な群
で村が潰されたらしい 。女と少しの男が連れ去られたから殲滅戦で、、、
生きてれば救助任務だから、、、運び手と新人研修だな』
「救助任務に新人を?」
『まぁ殲滅は俺だけで行けるが、、、生きてたら運ぶ必要があるからな』
「そう・・・・助けてあげてね」『努力はするさ』
「もう寝る?」『ああ・・・うん・・・』
「じゃあ部屋戻るわね」『すまんな』
「無事に帰ってきてね」『行くよ』
「・・・行って来るって言わないのね、帰ってきたら顔をだして」
『ああ・・・・』
女は部屋を出ていく。俺が人とは一緒に寝れないのを知ってくれているから、
いい女だ。宿付きの女だから、また来れば会える。
客が付いて無ければ。
少し寝よう。
---------------------------------------------------------------------------------------------
朝、空が白みかけてきた時間、装備を整える。
ストレージからチェインメイルを取り出し、皮革製の鎧と非対称な鋼鉄製の籠手をその上に着ける。
兜と面頬を被り、剣とバルディッシュを携え宿を後にする。
きれい好きな俺は、定宿を持たず、娼館や酒場の宿を転々としている。
窓から女が顔を出し送ってくれる。
良い乳だ。
また来ようか、今回はそれなりに金になる。終わったら一晩くらい良いだろう。
どうせ宵越しの金は持たない。この世界には家族などいないのだから。
--------------------------------------------------------------------------------------------
大体の仕事は終わった。やることは畜生どもと変わらない、索敵、強襲、皆殺し。
虜囚がいれば救助。女は結構な数が生きていた。無事かと言われると...どうとは言えないが。
新人は怒り狂ってるが、まぁ日本だろうが何処だろうが権力か暴力かの違いで同じようなことは起きている。
そいつらが犠牲を出しても報道を見たことがない。警官や職員と呑んで話してると胸糞悪くなるがそういうモノらしい。
どこも変わらない。力が単純なだけこっちの方がましだ。奪う側になれたのだから。
街に行こう。酒場の宿に行こう。あの女のところに帰って顔を出そう、俺に少しでも感情を持ってくれたのだから。
また一週間ほど垢を落とそう。
---------------------------------------------------------------------------------------------
近くの丘から街の煙が見えた。焼野原だった。
畜生どもに襲われている。まだその場で襲い殺しむさぼっている。泣き声が、叫び声が聞こえる。
断末魔が聞こえ木材が燃え落ち崩れる音が、うめき声と伴に聞こえる。
新人たちが駆け出し声をかけてくる。
助けるよう叫んでくるが、自分でやらない。どういうつもりだろう?「家族がいるんです」「助けてください!」
と言われても、、、、困る。
動かない俺を置いて皆それぞれ駆けていく。街に誰か大切な人でもいるのだろう。
俺は酒場に目を向ける。
**********************************************************************************
ああ間に合わなかったか。
知った声が魔物に囲われ鳴き、叫んでいる。
齧られてもいる。助けを叫び、時たま「お母さん」や「俺の名」も聞こえ
てくる。いや、間違いなく叫んでいる。
この距離でこっちは見えてないと思うが、、、、
それなりに長く入っていた。初回からもう半年ほどかな。街に滞在する日程の1/3程は彼女を指名していた。
居心地が良かった。
見ていると新人が助けに向い、そのままなぶり殺しにされた。めった刺しにされながら店の若い女の名を叫んでいた
惚れていたのかもしれない。
確か、この前童貞を捧げた女の源氏名だ。
大人の女にしろって言ったのに聞かないで夢中になり、
ケツの毛まで毟りとられていた
だから惚れてたんだろうなぁ。
楽しそうにあいつ俺に惚れてるんですよ、凄い凄いって言われて、
こんなの初めて。
もう俺しか見えない、俺だけだって
もう帰ったら直ぐ会いに行ってあげなきゃ!とか騒いでた。
仲間に借金して通ってたようだが、借り逃げだなぁ。
幸運な奴め。
知った声の断末魔が聞こえる。さて、そろそろ行くか。殺して、奪って、漁ってか。
どこであろうとヤルことは変わらない。間に合わなかったが仕方ない。
止めを刺して、なんて言われたら困るもの。
次は何処の街に行くかなぁ、、、、とぼやきながらバルディッシュを抱え街に向かう
真面目が一番。ヤル気、その気、死ぬ気だ。
蹂躙してやる。化け物ども。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます