第31話 ケイと休日と麺
「けーいー」
「……」
「ケイちゃぁーん」
「……」
ソファの上から動かない。
俺に呼ばれても、来ない。
なぜなら、お風呂に入れられることを察知しているからだ!
「ケイちゃん、お肉あげるからおいで」
「ワン」
単純な子!
そこがかわいいぬぅ!
ジャーキーをあげてからバスルームにケイと入ると、それだけでもう大変なんだけど、ケイをきれいにするためだ。
かわいい子が、さらにかわいくきれいに天才にやさしくふわふわの百点の子になるのだ!
お耳、歯をしっかりと洗い、肛門絞りもできる俺は完璧にプロだと自負してる。
シャワーでケイの身体を流して、シャンプーをつけてまずは汚れを落とす。
なでなでなでなでごしごしごしごし……爪も切りましょうねぇ
「ぴーぴーぴーぴー」
こんな大きいのに、爪切りが怖いなんてかわいらしい子!
血管をきらないように注意して、伸びたところだけをカットする。
おとなしくいい子してくれるから楽ちんだよぉ!
「おい、山田!」
佐田さんの声。
「今、お風呂です。ケイちゃんを洗ってるんで」
「知っておる。タオルをおいておくぞ。あと、お前の着替えもおいておく」
「ありがとうございます」
気をつかってくれているようだ。
ケイの身体をシャワーで流し、二回目のシャンプーです!
もみもみなでなで……抜け毛もごっそぉととれる!
肉球も丁寧に洗い、耳ぺったんこの頭をナデナデしながら洗う。
「きゅぅ……ぴーぴー」
頭濡れるの嫌なんね? もうすぐ終わるけんね。
洗い流して、トリートメントで整えて、シャワーでまた流す。
「よーし、ケイちゃんぶるぶるぅ」
身体を震わせながら誘うと、ケイもブルブルブルブルと犬ドリルになって水分が一気に飛んでいったぁあああああああ! 俺がびっしょびしょ!
バスルームからのドアを開けると、佐田さんが仁王立ちしていた。
「番犬、待て」
ぴたり、と停止したケイ。
恐れおののいている。
佐田さんが、タオルとドライヤーでケイを乾かしてくれるというので、俺はその間にシャワーを浴びさせてもらう。
バスルームから出ると、佐田さんとケイは俺のベッドでゴロゴロしていた。
ケイが俺を見て、ぴょんぴょんと跳ねるようにして飛びついてきた。
「ケイちゃん!」
「ハッハッハ!」
顔をペロペロされるぅ! かわいぬぅ!
「よーし、つけ麺を作る。待ってろ」
今晩もまた麺か……この人、たまには違うもの作ってくれんかな……。
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