想い合いで重い愛

 雪音に連れられて学校を出た私たちは、現在腕を組んで外を歩いていた。彼女が黙っていたので私も話しかけることなくついてきたが、さすがにそろそろどこに向かっているのか気になったので尋ねることにした。


「ねぇ、雪音。どこに向かってるのか教えてくれない?」


「私の家」


 彼女は短くそう答えると、あとは何も話すことなく歩き続ける。これ以上は聞いても答えてくれなさそうだったので、私は仕方ないと諦めてついていくことにした。





 雪音の家に着くと、私はすぐに彼女の部屋へと連れ込まれる。

 そして、ようやく腕を離してくれた雪音は私の方を振り向くと、勢いよく抱きついてきた。


「あぁ。六華の匂いがする…」


 しばらくの間私に抱きついていた雪音は、体を離すことなく私のことを見上げてくる。


「なんで抱きしめてくれないの?」


「何でって言われてもね。まだ私は許したわけじゃないし、雪音がどうしたいのかも直接聞いたわけじゃないから」


「そういえばそうだったね」


 雪音はそういうと、また私の手を引いてベットまで歩いていき腰を下ろす。私も彼女にならい横に座ると、雪音は少しずつ話し始めた。


「まず結論から言えば、私は友達よりも六華の方が大切だって思ったし、絶対に離れないって決めたよ」


「ふーん。どうして?」


「二週間ほど前に、葛飾さんから六華のことをいろいろ聞いたんだ。スカートが好きなことや猫が好きなこと、友達があまりいない理由とか…」


「はぁ。莉緒のやつ、勝手に喋ったんだ」


 私が雪音に隠してきたことを勝手に話され、莉緒に対して初めて怒りを感じた。しかし、雪音はそんな私の手を握りながら私の目を見て首を横に張る。


「葛飾さんは悪くないよ。悪いのは何も知らなかった私なんだし、あまり責めないであげて?」


「…わかった」


「それでね。その話を聞いて、六華の私に対する愛の重さをその時初めて知ったんだ」


「気持ち悪かったでしょ?こんなに一方的に愛されて」


「うん。最初は異常だと思ったし、私に向けられるその愛の重さが怖かった。…でも、それ以上に私のことをこんなにも愛してくれてるんだって知って嬉しくなったんだ」


 雪音はそういうと、繋いでいた手を離して私の方に体を寄せ、ぎゅっと抱きしめてくる。


「ごめんね、六華。私がもっとしっかりしてたらあんな事にはならなかった。辛い思いをさせちゃったよね。たくさん我慢させて本当にごめんね。もう我慢しなくていいから」


 私はその言葉が嬉しくて、彼女の背中に腕を回して抱きしめ返す。久々に抱きしめた彼女は暖かくて柔らかく、そしていつもの優しい香りがした。


「もう六華の好きにして大丈夫だから。私はずっとあなたのそばにいる。だから安心して」


「…ありがとう」


 彼女の言葉一つ一つが、ずっと私が欲しかった言葉ばかりだったので、嬉しさと幸福感で胸がいっぱいになり涙が溢れてくる。


 私から離れた雪音の顔を見てみると、彼女も私と同じで泣いており、私たちは涙を流しながら顔を近づけてキスをする。

 触れるだけの優しいキスだったが、私たちの涙が触れている唇の間に入り込み混ざり合う。そのキスはいつもと違って少しだけしょっぱかったが、いつもより雪音からの愛を感じられた。


 しばらく二人で泣きながらキスをしたあと、体を寄せ合いながらベットに横になる。

 私は私のことで涙を流す彼女が愛おしくて、涙の跡が残った頬にキスをする。


「あのね、六華。お願いがあるの」


「なに?」


「前みたいに途中で止めるんじゃなくて、最後まで私を愛してほしいの」


 私は雪音から言われた言葉が衝撃的すぎて、何も考える事が出来なくなる。

 その間に雪音は体を起こすと、自分から制服の上着を脱いで下着姿になった。


「お願い六華。私をあなただけのものにして欲しい」


「…この状況でそれをいうことの意味、分かってる?」


「うん」


 雪音は一度頷くと、ベットから降りて机の方へと向かっていき、引き出しの中からある物を取り出す。


「これ、買ったんだ…」


 そう言いながら私に渡してきたのは、指につけるタイプのコンドームだった。


「本気、なんだね」


「うん。これが私の覚悟だよ。もう絶対に六華を不安にさせないし、離れないから。たがら、私を六華だけのものにして」


「わかった」


 雪音がここまでしてくれたのだ。なら、私も彼女の気持ちに応えるべきだろう。

 覚悟を決めた私は、ベットから手を伸ばして彼女を引っ張ると、そのままの勢いで押し倒す。


「愛してるよ、雪音」


「私も愛してる」


 お互いに想いを伝え合った後、私たちまた唇を重ねる。

 ただ、先ほどとは違い、お互いを求めるように、そして相手を自分の一部にするかのように私たちは舌を絡め合う。


 唇を離して雪音の顔を見てみると、すでに彼女の顔は蕩けきっており、瞳には確かな情欲が宿っていた。


 私がそんな彼女を見て我慢できるはずもなく、首筋にキスをした後は胸のところまで舌を這わせていく。

 そして胸の内側にキスをした後、体を起こして彼女の手を取る。

 細くて綺麗な指にキスをし、人差し指を口に含み舐めた後、歯を立てて噛む。


「…っ。六華?」


 指を噛まれた事が痛かったのか、雪音は少し声を漏らした後、私の名前を呼ぶ。


「痛かった?」


「少しだけ」


「ごめんね。でも、私のものだって跡を残したくてさ。痛みって、ずっと忘れられずに心に残り続けると思うんだよね」


「そっか。ならいいよ。六華の好きなように、あなたを私に刻みつけて」


「ありがと」


 彼女から許可を貰った私は、今度はお腹にキスをした後に歯を立てて噛む。その後も太ももや腕、首筋や肩などたくさんのところにキスをして噛み跡をつけていく。


 雪音はその度に少しだけ痛そうな声を出すが、この噛み跡の数だけ彼女に私を刻み込めているのだと思うと、すごくゾクゾクして興奮した。


 そして、最後に心臓のある部分にキスをして嚙み跡をつける。心臓は人の体で最も重要な部分の一つだ。その近くを噛む事で、私という存在を彼女の心に刻み込めたことは本当に嬉しかった。


「六華、満足した?」


「噛むのはね」


「よかった。ならお願い、もっと私を愛して可愛がって」


「うん」


 私が雪音のブラを外すと、形のいい綺麗な胸があらわになる。初めて彼女の胸を見たが、思っていたよりも大きくて魅力的だった。


「そんなにみられると恥ずかしいよ」


「ごめん。すごく綺麗だったか見惚れちゃった…。触ってもいい?」


「…いいよ」


 初めて触る自分以外の胸はすごく柔らかくて、それと同時に手のひらに彼女の鼓動が伝わってくるのがとても心地よかった。


「んっ…。あっ、ん」


 しばらくの間揉んでいると、彼女も気持ちよくなってきたのか、時々甘い声が漏れ出るようになってきた。

 そして、ついに我慢できなくなったのか、彼女の方からおねだりをしてくる。


「六華、下も触って…」


 私は手を股の方へと伸ばしていくが、そこで悪戯心が芽生えてしまい、太ももだけを軽くなで続ける。


「あっ…ね、ねぇ。んっ…お願い、いじわる…しないで、りっかぁ…」


 焦らされたことで少しだけ目じりに涙を浮かべる彼女が愛おしくて、私は涙の溜まった目じりにそっとキスをする。

 そして、雪音の望み通りショーツの中に手を入れてみるが、彼女は既にだいぶ濡れていた。


「雪音…」


「ま、まって!言わないで!自分でも分かってるから!!」


「わかったよ。…でも、ふふ。ちゃんと気持ちよくなってくれてたんだね」


 その後も指は入れずに胸や外側を重点的にせめて慣らしていく。

 私が指を動かすたびに雪音からは甘い嬌声が漏れ、胸の敏感なところを甘噛みすれば体が跳ねた。それからしばらくの間、部屋の中には雪音の艶めかしい声と水音だけが広がった。


「もう大丈夫そうだけど、いいかな」


 だいぶ時間をかけて慣らしたので、そろそろ頃合いとしては良いだろうと思い、雪音が買ってきた物を手にしながら聞いてみる。


「ぅん…ただやっぱり少しだけ怖いから、手を繋いでてほしい」


「わかった。なるべく優しくするけど、痛かったら言ってね」


 雪音は一度頷くと、目を瞑って私の空いている方の手を握る。私はなるべく痛みを感じさせない様に、ゆっくりと慣らしながら指を入れていき、一番深いところまで入れる。


「…っ」


 雪音は少しだけ痛そうな声を漏らすと、繋いでいた手を思い切り握ってくる。少しだけ爪が食い込んで痛かったが、彼女のためなら耐えることができた。


「大丈夫?」


「…少しだけ痛かったけど大丈夫。それよりも、これで私は六華だけのものだよ」


 そう言って嬉しそうに泣きながら笑う彼女はとても綺麗で、ドキッと心臓が高鳴る。


「今度は私のをあげるからね」


「楽しみにしてる」


 その後、しばらくの間雪音のことをたくさん可愛がってあげると、彼女は意識を失うように眠りについた。


 寝てしまった雪音の頭を撫でながら火照った体を落ち着かせた私は、近くに置いていたスマホを手に取り時間を確認する。

 時間はすでに18時を過ぎており、そろそろ帰らなければならない時間になっていた。


「もう少しこうしていたいけど、遅くなりすぎると心配かけちゃうしね…」


 私は雪音を起こさない様にベットから降り、脱いだ制服を着ていく。


「…ん。りっかぁ。かえるの?」


 しかし、私がベットからいなくなった事に気づいたのか、雪音は目を擦りながら尋ねてくる。


「うん。そろそろ帰らないと親に何か言われそうだし」


「わかった。私も今着替えるね」


「ううん。雪音はまだ体も怠いだろうし休んでて良いよ。帰ったら連絡するね」


「ありがと。六華がそう言うなら休ませてもらうね」


 帰りの準備が終わった私は、最後に部屋を出る前に彼女の頬にキスをした後、雪音に手を振って部屋を出るのであった。






◇ ◇ ◇ ◇ ◇

よければこちらの作品もよろしくお願いします。


『距離感がバグってる同居人はときどき訛る。』


https://kakuyomu.jp/works/16817330649668332327



※最後の部分、変更いたしましたのでよろしくお願いします。

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