第1話

私は「不良」そう呼ばれている。だって人生ってつまらないんだもん。勉強だって余裕でできるし、運動だって男子を差し置いて1位だし。自分で言うのもなんだが容姿だっていいし。だけどっていう縛りやとかなんで守らなきゃいけないわけ?私は自由に生きたい。髪を染めたっていいじゃない。学校がつまらないから行かなくてもいいじゃない。友達なんか……。










スマホのアラーム音とともに私は目が覚めた。

「うざ……。」

私はアラームを止め、現実世界に戻る。私は重たい体を起こし髪の毛をかきわける。

「今日学校かよ……」

もうすぐ12月になる今日。私は寒さを感じ、昨日寝る前に脱いで放置したパーカーを手に取り着る。2階の自分の部屋から下に降りると寒さと乾燥が季節を感じる。リビングを開けると

「おはよう、乃々華ののか。」

「……はよ。」

久遠 乃々華くおん ののかキッチンで朝ごはんを作っている母の飛鳥あすかが声をかけた。私はぶっきらぼうに返答した。母はファッションブランドの社長で、毎日おしゃれはかかせない。前まではしっかり返事しろって怒られてたけど、今は何事もない。父のなぎさは大手の企業に勤めていて、ほとんど家にいないことが多い。家に帰ってきても仕事で疲れて寝るだけだからほとんど会話を交わしていない。私はテーブルに座ると母が朝ごはんを並べた。トーストにコーンスープ、フルーツといった品で、私は目の前の料理を見ていると母が

「乃々華。今日はさすがにテストだから学校に行きなさい。他は休んでもいいわ。」

「……分かってる。」

と私達は黙々とご飯を食べほとんど会話を交わさないままそれぞれ準備をする。母はなにかに気づいたように私に

「今日は私が送っていくから。」

「ありがとう。」

と乾いた返事をし、制服を着て、メイクをして鞄を持ち、靴を履いて玄関を出る。母の車に乗り、イヤホンとりだしスマホで音楽を聴き、外の景色を見る。今こうやって生活できるのは両親のおかげだということはわかっている。だから今は将来親のスネをかじらないよう、高校の勉強はせず、医学や保険、司法、建築など色々なものに触れている。まだなにになりたいか決まっていない。

やがて学校の校門前に着き、車を降りる。母は

「いってらしゃい。今日は仕事が少ないからはやめに帰っておいで。」

「……私の勝手でしょ。」

と言い母をあしらった。こんなことを他の人から見たら親不孝だと言われるだろう。だけど私の心にはまったく響かない。学校の敷地に入ると人がいっぱいいて私のことを蔑んで見る人がいればなにかコソコソと話す人もいる。2年の教室に着き、座席に座ると私は音楽を聴きながら今勉強しているセミナーや資格の会場などについてのメールチェックをする。それが終わったらNEWSや天気を見て、今日の勉強計画を立てる。すると私の机を人差し指を少しまげてコンコンする人が。それは決まって

「おはよう!乃々華!」

「おはよう。莉央。」

来栖莉央くるす りおは身長が高くスタイルが良くてそれに綺麗な人だ。勉強にバスケ2つを両立していて、完璧な人なんだけど実はかなり抜けてておっちょこちょいなところがある。は私のスマホを見て

「うわ!!またこんなに勉強するの!?すごい!」

「あなたテストヤバいんじゃないの?」

と言うと図星だったらしく、

「神様、仏様、久遠様!私に勉強を教えてください!!」

「ふふふ。もうテスト開始まで30分前だよ。……しょうがないなぁ。」

「いいの!?やった!ちなみにこれが分からなくて……」

莉央はこんな私でも接してくれる。とは1年生のときもクラスが一緒で私に最初に声をかけてきたときの第一声が忘れられない。は私に

「私の先祖で乃々華っていう人いるんだけど、偶然すぎる!!」

と。私はあまりにもおかしくて笑ってしまい、そこからと仲良くなった。は学校では人気者だ。よく男に告られたり、女子からモテる。別の世界にいる莉央がいるのは寂しいがが色々なことを話して聞かせてくれるのは嬉しかった。は私にとって心温まる場所だった。しばらく莉央に勉強を教えていると私の頭を撫でる人が来た。

「おはよ~乃々華。今日も可愛いなぁ。」

「……。」

「おはよう星夜せいやくん!」

「おはよう、来栖、久遠。」

私は撫でる手を払いのけるとそこには冨樫 星夜とがし せいやがいた。冨樫はクラスで人気だし、普通にイケメンの分類には入ると思う。こいつはなぜかいつも私に突っかかてくる。毎回面倒だし無視をしていても飽きもせず絡んでくる。少し茶色かがった髪にテクノカットスタイルの髪型。大きい目にさわやかな雰囲気でよくモテるこいつ。それに私のことなんか考えないでずかずかと領域に入ってくる。

ちょうどチャイムが鳴り冨樫と莉央はそれぞれ席に着く。だが冨樫は私の隣だ。私はひたすら冨樫を無視し、テストを受け放課後となった。私は母に「祖母の家に寄る」と連絡を入れ教室をでようとすると冨樫が私の腕をつかんだ。

「なに……?」

と私はだるく返事をしたすると冨樫は

「なにかあったら俺に言えよ……。お前はなんだかいつもなにかを探し求めてる……そんな目をしてるから……」

冨樫の言うことは合っていた。私はいつも居場所や自分の存在意義を探してる……そんな気がする。私は泣きそうになるのをぐっとこらえ

「あなたに私のことなんかわからないでしょ!!」

と言い力いっぱい冨樫の腕を振り払い急いで学校を出た。






















私が一緒にいてほしいときなんかに誰もいてくれないでしょ





















私が悲しんでるとき、苦しいときは独りだ




















私なんかがいなくなってもみんな


























そう考えていると目から熱いものが一粒






















私はいつの間にか泣いていた。

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