【完結】「夫婦にはなれないけど、家族にはなれると思っていた」四章まで完結しました

まほりろ

第一章

第1話「婚約者と魅了魔法」




それは学園での進級パーティーでのこと。


第二王子のアルド殿下と側近の二人が問題を起こした。


側近の一人は魔術師団長の息子のリック・ザロモン侯爵令息。


もう一人は騎士団長の息子のべナット・リンデマン伯爵令息だった。


三人はそれぞれの婚約者に向かって、男爵令嬢のミア・ナウマン嬢をいじめていたという理由で、糾弾した。


第二王子殿下が、

「お前たちがミアを噴水に突き飛ばしたり、階段から突き落としたり、教科書やノートや制服を破ったことは分かっている!

ミアに謝れ!

土下座して謝罪しろ!」

と大声で叫んだ。


それらのことはナウマン男爵令嬢の証言だけで、何一つ証拠はなかった。


三人の令嬢は「冤罪だ」と言って、謝罪を拒否した。


すると第二王子殿下とザロモン侯爵令息とリンデマン伯爵令息は、それぞれの婚約者に向かって、

「「「お前のような卑劣な女とは結婚できない!

お前との婚約を破棄する!」」」

と公衆の面前で宣言したのだ。


第二王子のアルド殿下に婚約破棄を宣言されたのは公爵令嬢のカロリーナ・ブルーノ様。


ブルーノ公爵令嬢は銀髪紫眼の美少女。


賢くて語学が堪能でダンスもマナーも完璧で、淑女の鑑と評されているお方だ。


騎士団長の息子のリンデマン伯爵令息に婚約破棄を宣言されたのは、辺境伯令嬢のマダリン・メルツ様。


メルツ辺境伯令嬢は、黒髪黒目のクール系美少女で、剣と乗馬の達人だ。


そして魔術師団長の息子のザロモン侯爵令息に婚約破棄を宣言されたのが私、子爵家の長女エミリー・グロスだ。


茶髪に茶目に平凡な容姿、趣味はお菓子作りと刺繍とパッチワークという地味な女だ。


婚約は家と家との結びつき。


公衆の面前で「婚約破棄する!」と言っただけでは、婚約破棄は成立しない。


よって私は依然としてリック様の婚約者だし、ブルーノ公爵令嬢も第二王子アルド殿下の婚約者だし、メルツ辺境伯令嬢もリンデマン伯爵令息の婚約者のままだ。


第二王子アルド殿下は、ブルーノ公爵令嬢に婚約破棄を宣言したあと、ブルーノ公爵令嬢に罵詈雑言を吐き続けた。


側近の二人はそれを止めなかった。


ナウマン男爵令嬢は第二王子殿下の腕にしなだれかかり、にやにやしながらその様子を眺めていた。


進級パーティに参加した他の生徒は、進級パーティを台無しにされ、恨みのこもった目で第二王子殿下とナウマン男爵令嬢らを眺めていた。







もしよければ★から評価してもらえると嬉しいです!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る