異世界に来て勇者になった俺、スペックそのままで逆行したけど、2回目は平凡に生きる。

いちとご

第1話

魔界と人間界の戦いが始まってから300年が過ぎ、人間達は劣勢に立たされていた。

そのな時に異世界から1人の少年が現れた。

そして、伝説の勇者のみが扱える聖剣クラウソラスを手にして、魔王軍と熾烈な戦いを繰り広げて見事魔王を倒したのだった。


勇者は世界を救った英雄となり、美しい姫と結婚して幸せに暮らしました。のはずだったのに……。


「バブバブー!(なんでこうなったー!)」


俺は結婚式を終えて姫との初夜を迎えるために姫の部屋に入ったんだ!なのに、なんで赤ちゃんの身体になってるんだー!やっと童貞卒業だと思ったのにー!


俺、山中裕太は転移者だ。この世界に来る前は東京にある個人店の日本料理屋で働いていた。ランチ営業もしてたから勤務時間が朝9時〜深夜2時で、週一の休みも、翌日の営業の仕込みをしなきゃいけないから休みなど無い。


コロナで最初の緊急事態宣言の時に2ヶ月だけ休みになったが、それ以降は闇営業で店を開けていたから、また休みの無い日々が続いた。コロナで客足が遠のいて暇になったが、大将のストレスの禿げ口になったり、女将との喧嘩の巻き添えを食らったりて、精神的なストレスが増していった。あの日も45歳も過ぎたのに彼女も出来ずに童貞のまま過労死するんじゃないかと、大将の殴る蹴るのパワハラとモラハラに耐えていたら、異世界に来ていた。しかも、中学生位の姿になって!


どっかの国の庭園みたいな所に居て、そこには修学旅行で行った夢の国のシンデレラ城みたいな立派な城があった。俺は知らない場所にいた事よりも、大将のパワハラとモラハラから逃れた事に安堵して意識を失った。


異世界から来た俺を何人もの人間が調べると、魔王に匹敵する魔力に全属性持ちでのチート野郎だった。そんな俺に国王が「城の地下にある聖剣を抜けるか試してみよう」と、俺を連れて行ったが、簡単にひょいっと聖剣を抜いてしまい、国王はビックリして腰を抜かしてしまった。


そして俺は勇者となり、聖騎士、魔道士、聖女、銃騎士の仲間達と、全大陸から集まった軍隊からなる魔王討伐隊と共に魔王討伐に向かった。


3年の戦いの末に魔王を討伐すると、この世界で1番の美人なのに、この世界に来た時に俺を気にかけてくれたとっても優しい姫が、俺のお嫁さんになってくれたんだ。


今までキスなんてした事なかったから、結婚式でした誓いのキスは緊張し過ぎて心臓が爆発するかと思った!!初夜の準備で風呂に入りながらそのキスを思い出して2回もヌイてしまった。日本で生きていた45年とこの世界に来てからの3年を合わせて、童貞歴48年だから仕方あるまい。


そして、意を決して姫の部屋に入ったら……。


何故か赤子になっていた……。


大好きな美人のお嫁さんと愛し合うはずなのに!!


神よ!何故に脱童貞を阻むのだ!!


俺は後何年、童貞でいなきゃんだー!!

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