一寸空は闇

夜闇桴月

プロローグ

「今日未明、世界最強のスパイ集団、天闇あまやみがインドの化学工場を爆破しました。被害総額は10兆円に上っており、国際警察は捜査を進めています…」

テレビを見ながら、雨こと霧雨降きりさめこうはため息を吐いた。

「情報早いなぁ。」

「悪いのはあの工場なのにさぁ、インターポールも嘘を吐くのが上手いよね。」

そう言って雨に抱き着くのははれこと日和川晴也ひよりがわせいや

「暑苦しいからやめろ。」

「えぇ~もう!雨のケチ~!」

「まぁ、晴の言ってることは間違ってないわね。あいつら、曇がわざわざ契ってやった契約を破るんだもの。他にも沢山の犯罪やってたし。」

ソファにもたれながらそう呟くのは雪こと雪崩沙雪なだれさゆき

「まぁ、当然の結果だよね~。」

「馬鹿だよなぁあいつらも。こっちの厚意を自分から切り捨てるなんて。」

「え、えっと…その辺にしといた方がいいんじゃないかな?」

弱々しく話すのはくもりこと花曇八雲はなぐもりやくも

「流石曇は優しいなぁ。」

「いや、優しいとかじゃなくて、もう消えてしまったゴミのことを考えるなんて時間がもったいなって…だって僕たちが早く忘れた方があいつらは早くに2度目の死を迎えれるから…」

「やっぱり全然優しくなかったわ。」

「まぁ、曇はこの中で一番闇が深いと言っても過言じゃないからな。当然の考え方だ。」

「そ、そんな闇なんて深くないよ…。ただゴミは処分しなきゃ、でしょ?」

「やっぱ怖ぇわ曇…。」

「ここまで闇が深いなんて知らなかったわ…。」

晴と雪は完全に曇を引いた目で見ている。

「ええ…。」

曇は少し困っていた。

雨は3人の話を聞き流しながらスマホを眺める。そして一つ深呼吸をした。

「さぁ、休憩は終わりだ。新しい任務が入った。取り掛かるぞ。」

残りの3人が引き締まった顔をした。

そらは絶えず変わり、闇は常に存在する。天闇に永遠と変化を。天闇に歯向かう者…」

「「「「一寸空は闇」」」」

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