第12話 わたげちゃん

時が過ぎるのが怖かったり、自分が嫌いだったり、学校が嫌で嫌で逃げ出したくなったり。

そういうとき、私の中につくってみる。

誰かを。

人じゃない。きっと丸くてふわふわしていて、たんぽぽの綿毛みたいな。

きっとわたしの周りをいつもふわふわ浮いてその子がこう言う。

〚大丈夫。大丈夫だよ。〛と。

ただ〚大丈夫。大丈夫。〛と。

そう。「大丈夫」なんだ。

嫌という気持ちが溶けていく。

私が情けない時は〚このままじゃ、情けないよ〛ってはっきりと 言ってくれる。

無意識に逃げようとしたら〚にげるの?本当に逃げていいの?〛って言ってくれる。

私がストレスがコントロールできなくて一方的に人に怒りをぶつけたら〚まずは落ち着いて。相手におかしく思われても素直に『ごめんなさい』っていうのが一番だよ。〛って言ってくれる。

〚大丈夫、……〛

うん。

この子を思い出して、困った時はなるべくこの子を私の周りに浮かせよう。

浮かせたら言葉を聞こう。

その子の言葉が必要なときに、その子のこと、思い出せなかったら、次は思い出そう。私を温めてくれる。

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