第7話 夜空の下で交わす俺と彼女の約束

新作「超人気俳優が女子高校生を好きになるのはダメなことですか?」始めました!

こちらの方もよろしくお願いします。


どうしても、キリがいい所まで皆様に読んで欲しかったので、もう1話投稿することにしました。


では、本編をどうぞ!!


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しばらくして、

俺の目から涙が流れなくなり、


水希はゆっくりと俺の身体を抱き寄せるのをやめて、顔を見合わせた。


すると、水希が何かを思った様子で


「もう、日が暮れちゃいましたね。」


と言う。時間は既に8時を過ぎていた。

そして、彼女は続けるように、


「ほんの少しだけ、夜風に辺りに行きませんか?」


その提案に俺は頷くと……


「では、私は看護師さん達に許可を貰ってきますね。」


そう言うと、彼女は病室を出て、ナースステーションに向かって行った。



その背中を見送りながら………………


結局、彼女は俺の話を最後まで真剣に聞いてくれたな。まるで、他人の痛みを受け止めるかのように。

あぁ、本当に優しい子なんだな。

あんな優しい子に...俺は迷惑を掛けていいのだろうか...。




そんな漠然とした不安が俺を襲った。


多分この日の出来事がきっかけだったと思う。



俺が彼女を好きになったきっかけは。





少しすると、彼女が看護師とともに戻ってきた。


すると、看護師の女性が、困り果てた様子で


「今回だけ特別ですからね。

本当は君、もう少し安静にしないといけないんだけど、担当医の先生が特別に許可をくれたので...。

ただし、30分だけね。時間が経ったらすぐに戻ってくること。いいわね?」



俺たち2人はそれに頷くと...。


看護師の手を借り、俺は車椅子に乗せられる。そして、それを水希が押してくれて外に出た。


水希が口を開ける。

「今夜はいい夜空が広がってますね。」


外に出て、上を見ると雲ひとつない月が綺麗に輝く夜空が広がっていた。


「そうだな。」


水希の言葉に俺は頷きながら言う。


「ーーー」

「ーーー」


その後の会話が続かなかった。

それはまるで、お互いが言いたいことを我慢しているかのような感覚だった。



俺はさっき病室で思ったことを素直に話すことにした。

「水希。」


「...はい?」

突然、名前を呼ばれ、困惑する水希。


「水希はさ、今日俺に....その....告白してくれただろ?」



それに、水希は少し照れた様子で俯きながらも

「……はい。」


俺は気にせずに言葉を続ける。

「....でもさ、俺なんかと一緒にいたらさ、大変だと思うんだよ。普通のカップルがやることができないと思う。

それに、色んな場面で水希に迷惑をかけると思う。だから………………」


その言葉を言い切ることはできなかった。


なぜなら、その言葉に遮るように、彼女が


「それ以上言ったら、本気で怒りますよ。」


「.........え。」


俺は彼女の真剣な物言いに驚く。


お構いなしに、と彼女は続ける

「さっきも言いましたが、私は世界で一番あなたの事を大切に思っています。

そんな、意味もわからない普通なんて、私はいりません。それに、あなたが言う迷惑は私にとっては迷惑とは思いませんよ。」


それは母が子に優しく言い聞かすように、


「見くびらないでください。

あなたが思っているよりも私はあなたが好きですよ。」


夜の月光でも分かるほど彼女の頬は赤く染まっていた。



「.........なんで俺なんかを。」


彼女の言葉に嘘はない、そんなことは明確だったが、俺はなおさら気になり、彼女に疑問をぶつける。


「だって、、当たり前じゃないですか。

私にとってあなたは、龍星さんはあの日からずっと変わらない私のヒーローなのだから。」


「.........おれが?」


「そうですよ。あの時、私は本気で死ぬ覚悟をしました。それでも、今こうして生きているのは誰でもない、龍星さんのおかげです。」



「......でもそれは、償いに近いだろ。」

彼女の告白を聞いてずっと思っていたことがあった。それは異性としてではなく、償いの相手として自分に告白したのではないかと。


その言葉に彼女は静かに言う。


「......ないとは言いません。

でも、これだけははっきり言います。

私の『初恋の相手』は、九条龍星さん、あなたなんですよ。」



彼女の言ったことを理解するのに、時間がかかる。



「冗談だよな...?」


「冗談なんかじゃありません。

それに、本当に好きな人じゃないと、たとえ、私に罪悪感があったとしても毎日あなたのお見舞いに行くほど私は優しい女の子じゃありませんよ。」



それを聞き、思わず俺は笑みをこぼす。


「俺なんかを好きになって...後悔するかも。」



「大丈夫ですよ。多分あなたの隣に居れないことの方が後悔します。」



「.........迷惑をかけるかも。」



「迷惑とは思いません。私があなたを支えるから安心してください。」



「.........俺には希望も、夢も、もうない。」


「私があなたの希望になります。

夢はこれから探しましょう。きっと素晴らしいものが見つかります。」



「......自分が好きになれない俺でも」



「あなたが、自分を好きになれるくらい私が龍星さんのいい所をいっぱい教えてあげます。」



「......頼っていいのか?」


「頼ってください。私はあなたの役に立てるならそれが幸せなのだから。」


もう、枯れたとすら思っていた涙が再び目から溢れだしてくる。



すると、彼女は車椅子から手を離し、俺の前にかがみ込むと、



「約束します。私は何があってもこれから先あなたの隣にいると。そして、いつの日かあなたが本当に幸せになるまで、私が支えると。だから.........」


その先を水希には言わせなかった。


「その先は俺が言わせてくれ。

渡邉水希さん、こんな俺だけど、付き合ってくれますか?」


満面の笑みで彼女は答える。

「はい。喜んで!」


それと同時に、水希は龍星に近づき、






そっと唇を重ねる。



初めてのキスは涙の味がしたのだった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


いかがでしたか?


つめに詰め込んだ一日でしたが、、、。

ここからようやく、物語スタートって感じです。(やっと書けたー)


さて、今後2人はどうなっていくのか、、、。

お楽しみにしてくださいね!!



面白い!続きが気になる!と思ってくれた方は応援、フォロー、☆☆☆などをつけてくださると嬉しいです。



思ったこと、感じたことなど感想としてコメントしてくだされば、今後の執筆に役立つのでご協力よろしくお願いします!



では次回お楽しみに!!

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