異世界アニメを見る資格

干奧左海

第1話

 遂にここまで来た。


1アニメの発展に努めること。


2アニメ制作会議に必ず出席すること。


3アニメとして正式に議決したもの以外に民衆に放映・視 聴化することを禁ずる。


4任期は定めていない。但し、委員長が人材として不適切だと判断した場合、一年後に権限は、剥奪される。



アニメ制作委員会の鉄則だ。

アニメ視聴資格の習得。それが僕、兄目視好あにめみるずきの夢。

それが成就した。


いや、まだこれからだ。資格の習得後、アニメ制作許可委員会の会員となる。

委員会から正式に認められることによって、制作許可委員会に所属する事となる。

現在の所属人数は委員長一人を含めて、9名。

僕が一番の新人だ。


そこでやっとアニメ複数を見ることができる。

昔は、季節ごとに複数のアニメを安価で等しく、見ることができる夢のような時代だったそうだ。


しかし今は違う。


今はこの制作委員会で認可がおりないと、アニメを世に見せることが出来ない。

そして、世に出したとしても、専用のアニメ館という施設でないと、見ることが出来ない。

昔で言うところの映画館がアニメにも組み込まれており、1話当たり500円。


アニメの1期がだいたい12話なので、6000円と、非常に敷居が高い。

大衆の娯楽ではなくなってしまった。

季節ごとに3枠のアニメが委員会により選出される。


そして僕は、選出ついでに、委員会の権限を利用して、全てのアニメを見ることが夢であった。

現在放映の申請がされたアニメの選考をするのが主な職務ではあるが、それ以外の活動は割りと自由だ。

過去のアニメを見るられるのも、この委員会の特権である。




 現在今期のアニメの選考中である。選考基準は以下の通りである。


【選考基準】


・ストーリーや世界観がしっかりと作られている。


・演出に違和感は無いか。洗練されているか。


・可愛らしさのみで、話を成り立たせようと、していないか。


・流行りに左右されない




となっている。そして僕いや、僕たちは、アニメの視聴を行っている。


全員イヤホンを装着の元、本格的に視聴している。


1日1つのアニメを最後まで見てアニメの評価・レポートの作成をする。




本来4、50枠程のアニメがあるのだが、放映できるのは、予め委員研修生がプロモーション映像を見て選考されたものから20枠に絞られる。

僕も研修生から委員の資格を正式に得た。

そして、委員会にて、3枠に絞られる。

本当は選ばれなかったものも放映させたいが、仕方がない。




 そして20枠のアニメを全て見終えて、放映する3枠を決める選定会議が始められる。

各々の放映に相応しいであろう3枠を発表する。

初めての選定会議だ。

緊張する。


【選定発表】


委員長 司頭理壱すとりいち


・0の世界へようこそ ・ダークヒーローズ


・噛ませにさせてなるものか




演出構成えんだこうせい


・0の世界へようこそ ・ダークヒーローズ


・噛ませにさせてなるものか




甘々反吐かんかんかえは


・0の世界へようこそ ・ダークヒーローズ


・噛ませにさせてなるものか




法被縁怒ほうおおよいか


・0の世界へようこそ ・ダークヒーローズ


・噛ませにさせてなるものか




必須考察かならすこうあき


・0の世界へようこそ ・ダークヒーローズ


・噛ませにさせてなるものか




御都合殺おとごうあや


・0の世界へようこそ ・ダークヒーローズ


・噛ませにさせてなるものか




根田晴裁ねたばれさばき


・0の世界へようこそ ・ダークヒーローズ


・噛ませにさせてなるものか




厳守納期げんもりとうご


・0の世界へようこそ ・ダークヒーローズ


・噛ませにさせてなるものか








 全員同じもの! ? しかも……。




「どうした? 兄目君。選定を発表したまえ」




 委員長が促す。不安だが、仕方ない。自分の感性を信じるしかない。




兄目視好


・貧乏令嬢は今日も今日とて、貧乏くじですわ~


・勇者雑用の分析職/アナライザー。こき使われた挙げ句、不要と言われて、パーティー外される。戦闘情報の重要性に気づいても、もう遅い。


・シュガーハイスクール 




 




「「「「「「「「! ?」」」」」」」」




 僕を除く、委員がどよめいている。

委員長の司頭さんが説明を求める。


「……。聞かせてもらおうか。何故そのような選択をしたのか」


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