第1話 始まり始まり

『ま、そういう事で。』


 俺は死んだ。その事を今更ながらに実感したと同時に、やっちまったなぁとかあいつらに迷惑掛けちまった、絶対母さん現世で俺に切れてるよ...と思うもが過ぎてしまったことはどうしようも無い。


 色んな後悔が押し寄せて来るものの物事は勝手に過ぎていくもので、こうしてウジウジしている間にもさっき俺に変なものを渡して来た奴は着々と話を進めていっている。


 とりあえず意図していないとはいえ、大体の内容は把握してある。乗り遅れない内にさっさと話を聞きに行こう。


 そう思い、俺は考えるのは後にしてその場を離れた。







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          無の間


『とりあえずこんな感じで、君たちを僕の世界に転生させるから。ああ、そうだった。声、というか思念を相手にも伝わる様に設定しといたから、普通に話せるよ。ま、何か質問がある人は遠慮なく言ってね。』


 場は混沌としていた。予め内容は把握していたとはいえ、いきなりよく分からない世界に転生することやこれからの人生をどう生きたらいいのか、分からない事だらけだった。周りも俺と同じ状態の人が多いいようだ。騒然とする中、一人の男性が手を挙げた。


『おお、質問者第一号だね。どうぞどうぞ。』


「助かる。一つどうしても確認したいことがあるんだが、ここに居る俺...いや、俺達は死んだのか?」


『そうだね。原因は様々だけど君たちは全員現世で既に死んでるね。』


 やっぱり死んだのか...というかここに居る全員死んでるのか。なんか凄いな、ある意味。そう俺は思った。


 一人場違いな思考をしている中、次の質問は場を緊張の嵐が襲う。


「それは異世界に転生させる為にアンタが俺達を殺したのか?」






 

確かに、その可能性は考えてなかった。異世界転生なんて、そんなの架空のものだし、こんな変な所に居るのも考えたら...


 もし、そうだとしたら俺のあの失態も誕生日に死んだのも全部この変なやつのせいで...


『いや、さっきも言ったけど様々な原因...つまり、事故だったり病死だったり寿命だったり、後はまぁ自殺だったりね。そんな感じで死んでるね。』


 前言撤回。全くそんな事はありませんでした。うわっ、恥ずかしっ!勝手に人のせいにしてたけど、全然ちゃうやん!痛いわ〜、マジで痛いわ。穴があったら入りたいです、はい。


「成程。それじゃあ次の質問なんだが、何故わざわざ俺達を異世界に転生させるんだ?」


『それはそっちの方が面白そうだったからかな。』


「は?」


『いや、最近君たちの世界で異世界転生なる物が流行ってるじゃん?それに興味をもってさ、じゃあ転生させるか!ってなってね。』


「」


 その場の人達は、その余りにも雑な理由に怒りを顕にした。何故そんな理由で勝手に転生されなければいけないのかと。


 俺?俺はまあ、そうですかと割とどうでも良さげです。


『ああ、誤解の無いように言っておくけど別に無断で君たちを転生させる訳じゃないよ。君たちの世界の神様に許可を取ってあるし、転生しなかったらしなかったで輪廻に帰るだけで、記憶を無くして転生するか記憶がある状態で僕の世界に転生するかの違いだからあんまり差異は無い。君達に不利益な事は一切無いよ。それに赤ちゃんからやり直すか、そのまま僕の世界に転生するか選べるし。』


「...そうか。大体は分かった、とりあえず死人の俺達はどっちにしろ対して変わらないなら、それならとアンタがこの提案を俺達の世界の神様?にもってった結果が今のこの状態と。」


『そうそう!君、理解するのが早いね〜助かるよ!』


「褒めてくれてどうも。それで、何故俺達を選んだをんだ?何か理由でもあるのか?」


『それは適当だね。死んで行った人達の中でたまたま君たちが選ばれただけで、特に何か理由がある訳じゃないね。うん。』


「そうか。」


 男性は聞きたいことを聞き終えたからか、それ以上の質問はしなかった。そして今の事態を大体把握し転生することを受け入れ始めたからか、周りの雰囲気は幾分か落ち着いて来た。


 俺も聞きたいことがあったから手を挙げようとしたら...


「あのっ!」


 割り込まれました、はい。


(...まあ、後でいいや。とりあえず聞こう。)


『うん?』


「私たちがこれから転生するのはどう言った世界なんでしょうか?貴方の世界に転生するというのは分かったのですが...」そう女性は聞いた。



『ああ、言ってなかったね。今から君たちに転生してもらうのは僕の作った世界。つまり「アレナ」に転生してもらうよ。』


「アレナ...」


『そ。その世界はまあ、よくある剣と魔法のファンタジーな世界と思ってもらって構わないよ。それで、その世界にはスキルといったものがありふれててね、主に二つ種類があって固有スキルと”普通の”スキルがある。前者は個人が稀に持つことが出来る特別なスキルで、後者が誰でも取得が出来るスキル。様々な経験を積むことによって取得出来るから頑張ってね。』


「あ、ありがとうございます。」


『ん〜、他には居ないかな?』


 なるほどね...現世に居るみんなには悪いが、何かワクワクする様な世界だな。暇つぶしによくそういうのを読んできたから魔法とか憧れるんだよなぁ。ぜひ使ってみたいな...まあ、それはそれとして。


「あ、はい。」


『ああ、君はさっきの。どうぞ。』


「あ、ども。えーと、貴方の名前は?」


『名前?ん〜特に無いけど、強いて言えば神様かな。』


「神...」


 ふむ、神か。何となくそうじゃないかと思ってたけど、まんまやん。


「でも神様なら心の中が読めるんじゃないんですか?それとも実は神様じゃない?」


『いや、読めるんだけど今はオフにしてあるんだよ。こんな大勢の人がいる中で読んだらそれはもうすごいことになっちゃうからね。自重してるってわけさ。あと、神様は神様だけど正確にはアレナの神様だから、君たちがいた世界の神様ではないよ。』


「はえ~そうなんすね。あ、これで質問はおわりです。」


 それから色々な人から神様は質問攻めにされていた。






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『他にはいないかな?居ないなら次はお待ちかねのみんな大好きチート能力について話したいんだけど。』


 おお、キタコレ。チートやチート!何をくれんのかなぁ、出来れば魔法とか魔法とか魔法がいいです。


『いないっぽいからチート能力について説明したいけど、その前にちょっとした検査をします。アレナには魔法が存在して、主に火、水、風、土、無、光、闇の七属性があるんだけど、才能が無いと使えないので、それを軽く調べるからちょっと僕の前に一列に並んでね〜。』


 それを聞いた途端、俺は既に神の前に居た。


『うおっ、早いね君。そんなに魔法が気になるか〜。よしよし僕が君の魔法の才能を見てあげよう!』


 魔法を使いたいからね、しかたないね。それはともかく、魔法について考えると顔のにやけが止まらなくなる。火かな、水かな、それとも闇?光?はたまた風か、ちょっと特殊そうな無か、もしかしたら全属性なんて事も...


『えー、君の魔法の才能は...』


 ドキドキ


 ワクワク






『うん、ないね。』



 

.......え?

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