episode 018
まずはインターネットで、情報を収集することにした。
すると、愛知県のホームページにご丁寧にも町田知事の動勢が掲載されていた。
新聞に”首相動勢”が掲載されているのは知っていたが、知事まで動勢がインターネットで公開されているとは、日本はなんと平和な国家なのだろう。
アメリカではありえないことだ。
知事動勢によると、町田は毎朝8時半ごろ県知事公舎から歩いて4〜5分の愛知県庁まで二人のSPを伴って歩いて登庁しているそうだ。
石原慎太郎元東京都知事は、週に2〜3日しか登庁しなかったそうだが、町田は律儀に週末を除き毎日決まった時間に登庁しているらしい。
”歩いて”というのも庶民派を称するかつての盟友で、今は袂を分かった名古屋市長を意識した行動なのかもしれない。
まあ、わざわざ公用車に乗るほどの距離ではないのも事実ではあるが。
ならば、この登庁時を狙うのが一番確実だ。
愛知県公式Webサイトによると愛知県庁は、昭和13年(1938年)3月完成。鉄骨鉄筋コンクリート造、地上6階地下1階塔屋付き。
建築面積4,666平方メートル、延べ面積28,314平方メートル、高さ39.79メートルとのことで、歴史的にも貴重な建造物だ。
この庁舎が県知事公舎から2車線の比較的狭い交通量の多くない道を挟んですぐ東側にあり、更に片側4車線と基幹バス専用レーンのある大津通を挟んで新しい西庁舎がある。
知事の執務室は正庁の3階南にあり、見学も可能だそうだ。
県正庁のすぐ北側、同じブロック内に名古屋市役所の建物がある。
名古屋市役所は県正庁と同じようなクラシカルな建物で、両庁舎ともに大津通に面して正面玄関があるため、県知事公舎から県正庁まではおのずと南から回り込むことになる。
その道のりは、人通りも少ない上に樹木や植え込みの緑も多く、身を隠す場所には全く困らない。
まるで知事が狙われるなって、夢にも思っていない行程だ。
私に言わせれば平和ボケにも程がある。
日本が諸外国に比べると、本当に平和な国だということの裏返しだとは思うが、思いもよらずこんなに簡単に暗殺計画が立てられることはかなり問題だと思う。
Googleマップでも十分だとは思ったが、念のため県知事公舎から県正庁までの道のりの下見に出かけ、三日間をかけて計画を練った。
いくら簡単とはいえ、逃走経路をしっかり確保しておかなければいけないので、そこは抜かり無いように計画が必要だ。
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