応募数

みんな兼務

代表取締役社長を赤松碧波、副社長黒木白翔、佐藤瑠那、河合由依、高橋加奈、鈴木拓人、森真人、小島隼人の計8人で株式会社赤松碧波がスタートする。


人数が少ないため、全員複数仕事を受け持つこと。それは代表取締役社長である碧波も例外ではない。広報を打つため、マンガ家さんたちの連載をするための雑誌を印刷会社にお願いしていた。


マンガ家になりたい、伝説のマンガ家赤松碧波の様になりたいと応募してくれる人が多くてありがたい。


全ての人にチャンスを与えて掲載してあげたい気持ちはあるがそれでは本人のためにも会社のためにもならない。


送ってくれた人には全員函館に来るように伝えて何がよくて掲載、ここを改善すればチャンスがあると碧波本人やその言葉として伝えるように他のスタッフには教えている。


立ち上げて初の雑誌、売上はよくてアンケート結果も会社に届く。自分がマンガ家としてやっていた時には気づかなかったが裏方になって改めて気がついたことも多い。


忙しい日々が過ぎて半年、兼務しているとはいえ8人でするには難しい。


アルバイトには社員登用もありえると地域最低賃金法に則り正社員には月給制、アルバイトには時給制でそれぞれ募集をかけることにした。


1週間が経ち、碧波はパソコンでどれくらい応募があるのか確認すると地元函館や北海道のみならず青森県から鹿児島県、沖縄県まであることに嬉しい喜び。


中途で何人か採用しつつも人手不足を実感しつつもとりあえず後何人か欲しいと引き続きホームページで募集掲載を続けていた。


すると驚くことに台湾やアメリカと日本以外からも応募があり、一定水準以上なら面接をしたいと考えていた。


今のご時世、性別や住む地域で差別してはいけないと感じていてそれ以上に赤松碧波が掲げる函館から日本文化を海外に発信という所に合致しているから。


カタコトの日本語だが日本で働きたい、母国にもマンガを広めるためにここに来たと熱い思いが伝わってきて即日採用を決めた。


少しずつ社員が増えてきて碧波の負担が減り、自分のやるべき事に集中出来るようになってきた。


無理強いはしないが毎月近くの飲食店でお疲れ様会を開催し、働いている人たちにねぎらおうと常に考えている。どのマンガ家を柱にするかと仕事の話をするつもりがなくても知らず知らずしている。


碧波としては柱となるマンガ家が欲しいのは事実だが、まだ立ち上げたばかりの会社で看板だからと告げられたらどう思うか。碧波だったらイヤだな、だったら本人に告げず切磋琢磨した方がいい。


まだまだ浅いがその中で毎週のように順位が出る。それはイヤでもマンガ家さんたちに数字が分かりる。

誰がその中から抜け出すのか見守るしかないし全員上を目指すような作品を作っていこうと考えていた。


規模拡大

株式会社赤松碧波が設立した日は記念日として休みを設けている。リフレッシュしてまた再び頑張ってもらおうとの考えがあったからだ。


極力残業はさせない、社長とアルバイトでは立場は違えど困ったことがあった時は気軽に相談できるように心がけている。


立場を利用したイジメやパワハラがあった場合、即時退職を促してあまりにも酷い場合は警察に被害届を出すことを社員、アルバイト関係なく通達している。


アルバイトの子でもいい意見があれば積極的に取り入れようと前向きに検討するのが碧波の主義。マンガ家がよりよい環境で出来るようにすることが必要。


ある日、北海道の大学で台湾から留学生の子が相談したいと碧波を呼ぶ。もしかしてアルバイトを辞めたいと伝えられるのではないかと内心ビクビクしていた。


流暢りゅうちょうな日本語で相談の内容としては台湾で今、アニメが流行っている。特に「石岡杏子と子グマのリナちゃん物語」がやっていてグッズも流行っているからこの会社でもアニメ制作してはどうか。


相談を聞いてこの会社の理念は函館から日本文化を海外に発信しよう。アニメは基本的にマンガがベースで作られることが多い、そう考えたら新たな事業として始めてもいいかもと考えた。


仕事終わりに急遽会議としてアニメ制作についてどう思うか話し合っていた。この会議には社員のみならずアルバイトも参加することが必須である。


全員同じ意見なはずがなく、社員だけでは気づけない点もあってアルバイトの意見によって違う視点で気がつくこともある。自分の意見を押し通すことは絶対にしないのは碧波がマンガ家をしている時からの考え。


新事業でアニメ制作となると社員を増やさなければならない、それに伴って声優さんたちを育てなければならない。だがアニメや声優に関してはズブの素人。


声優の知り合い、頭の中でずっと考えていたが思い浮かばない。とりあえず周りに有名な声優さんに講師として迎え入れたいなと考えていた。


全員で「川越晴香」その名前を聞いてラインを確認する。あれだけ碧波のことを慕ってくれて会えばいつもかわいい笑顔でご飯行きましょう。


知り合ってからは毎年ラインでお誕生日おめでとうとあけましておめでとうをくれる優しい子を忘れるとは人として最低だな。


この状況でオファーするのはと思いつつも電話で新事業でアニメ制作にあたって声優の育成にお願いしたいと伝えると引き受けます。晴香を救ってくれた恩人の頼みなら断る訳にはいかないので。


さっきまで声優川越晴香の名前が出てこなかったことは決して本人に言えない。

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