第32話 サヨナラバディ

「よかったのかブラディ!?あのガキ殺しちまってよ?」


ヴァズギアは唸る。


「ああ…。俺たちとは根本的に思想が合致しねえ…。そんなやつがいれば組織は中から瓦解する…。」


黒のハイエースが朝日を切り裂き進んでいく。


「楽しみダネイ!自衛隊市ヶ谷駐屯地!ファビオは割腹自殺でもやるつもりなのネイ?!」


エレオアが尋ねる。


「三島由紀夫が死んだ場所、、。アメリカ資本主義に呑まれていく腐敗した日本へ彼は語りかけた、、。だが、、誰も彼の声を聞くものはいなかった、、ヘリの爆音で聞こえなかったとの証言もあるが、、結局言葉は地に落ち彼は死んだ、、。」


黒ずくめのヴァンパイアはつらつらと話した。


「そして資本主義、個人主義に呑まれた国は

圧倒的な貧富の高低差を作り出し、、

敗北者達はそれぞれのメタバースに逃避した

、、。それがシャドウアースを含むSF的な

擬似世界、、。

敗北者のルーツを刺激する異世界、魔法、おじさん、現実世界でやりもしない努力、成長、成り上がり、そして転生者の暴走、、ヒエラルキーの砂時計をひっくり返しさらに新しいピラミッドを作りだす、、。

そんなものは俺らは望まねえ、、!!!

破壊して共産主義的新世界を俺は作る、、。」


ファビオの瞳孔は白目を飲み込まんと散大し

そこには理想とする擬似宇宙が幾多の衛星と共に輝いた。


「そしてシャドウアースを乗っ取った暁には

その他の平行世界全てを共産化し…

最後には地球全ての人種をユーラシア大陸にかき集め一つの独立国家を作る…。」


「それがわたしたちの革命ダネイ!!」


夢のような話だが彼らは本気だった。たった五名が企てた小さな革命は世界的波紋を呼び

駐屯地前には武装した自衛隊、警察が待ち構えていた。


「ボスウウウウウ!?やっちゃっていい⁈

あいつら全部殺しちゃっていいすか!?」


ヴァズギアの血管はナイルのように

はち切れんばかりに頬に流れた。


「ああ、、。お前らたんと殺せ、、!!

だが半数は残せ、、、!!

俺のスピーチを聞かせる、、!!」


チュンチュン!!ビシイ!!


ハイエースのフロントガラスにヒビが入った。


警察が銃撃を開始したようだ。


「邪魔なんだぁぁぁ!!!


ヨォォォォォ!!!!!」


ドガァァァァ!!


ハイエースは警察官数十人に突っ込み駐屯地

正面にある門に突っ込んだ。


「オイ!!でめえらきけえええ!!!


俺らがシャドウワークス!!!国をいただきに


きた!!!」


ヴァズギアの咆哮と共に戦闘が開始された。

自衛隊警察は前線に銃撃隊を座らせ


「テェ!!!!」


一斉に発射した。


「シャドウボクサー、、


モハメドアリを召喚、、、!!」


ヴァズギアは蝶のように舞い放たれた銃弾を

かわした。


「無駄なんだよォォォォ!!!!」


ヴァゴォォォォォォ!!!!


右拳の一撃で数十人の胴体が空を飛んだ。









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