第22話 リュウガリュウタルユエン

「テメェ!サトウカゲル!8号をやりやがったな!!」


2号が朧む空に吠える。


「まずは一本!!残り全て切り落とす!!

シッコクノ、、、!!」


カゲルが夜の闇風を剣に纏わせる。


「いやぁな剣だな!影を根こそぎきっちまう!

野郎ども右に舵をきれい!!!」


バラバラだった7つの首は一直線に伸び、まるで

一匹の竜のようになった。


「風ええええ!!!!」


ブオオオオオオ!!!



闇を割く一撃が竜を襲う。しかし、九頭竜は

身軽に舵を切りするりと剣撃をかわしてみせた。


「おれ等が!リュウが最強生物であることを

お前等に教えてやる!!この動体を操る

スピード!バランス!」


「シッコクノ風!!!」


ブオオオオオオ


闇を巻く風がリュウを襲ったが、リュウは微動だにせず、最強剣の最強の風を受け止めた。


「涼しいなぁぁぁ!!!これがリュウの!!」


ガウン!!!


ブラディの銃弾が襲いかかった。


「喋る暇があるならくたばりな…おしゃべり

野糞龍…。」


しかし、銃弾は漆鋼の皮膚に弾かれ地に落ちた。


ニイイイイイ


夜が裂けるほどの口角でニヤついた2号は


「タイキュウウウリョク!!!」


と8行前の続きを吐きつけた。


「ダークアメーバ!増殖し竜の背中に降り積もれ!!」


ジンの指示に従いアメーバ達は一斉にリュウに

降り積もった。


「軽いなぁぁぁ!軽いなぁぁ!!!!」


ブゥアサブゥアサ!!!


竜は翼を振り回しアメーバを全て叩き落とした。


クピイイイイイイ!!


アメーバは地面に痛そうに叩きつけられた。


「ちくしょう!パワーも桁違いだ!!わかっちゃあいたけど強すぎる!!」


「おおおい!!アメーバの量がへっちゃあ

いねえか!!?吐いちゃうぞ!!

熱線吐いちゃうぞ!!?」


明らかに2号は遊んでいる。


「くそ!増殖が間に合わ、、、。」


「ファイヤあああああ!!!!!!」


7つの首から熱線が旅に出た。先ほどとは打って変わり統率の取れたそれは貫通力を増し、カゲル達に襲いかかった。


「うぎゃぁぁぁぁ!!!!!」


3人はスラムの中央にある教会まで吹き飛ばされ

磔にされたイエスの彫り物へすがる民衆のように壁に縋りついた。


「焼け…てねえ…。ジンお前が…?」


ブラディは敬虔なクリスチャンのように一度神の存在について検討した後、我に返り言った。


「ええ、間に合わなかった分、俺たちの体にアメーバを貼り付けました!増殖を繰り返して

肌までは燃えなかったみたいですね、、。

しかし、、あと何回凌げるか、、。」


ジンも半ばニヒリストのセミナーにでも通いかねない狼狽の顔を見せた。


「直接なら、、。やつを切れるはずだ、、!」


カゲルが自己肯定感を空に掲げ言った。

ただ、それが挫かれれば自己否定の底なし沼に沈むのは明白に見えていた。


「オーケイだ相棒…!!道は作ってやる…!!

ジン耳を貸せ!!」


必殺の奥義を喉元に携えたブラディがジンに

耳打った。








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