第3話 体育館裏

ボーッとしていたら放課後になっていた。

「うわぁぁもうどういうことなんだ!?!?」

俺は内心焦っていた。

朝ぶつかってしまった現役モデルの女の子に体育館裏に呼ばれているのだ。なにせ関わったのは今日の朝が初めてだし、、

「わっかんねぇ、、、」

どうしたもんか。

席を立ち、体育館裏に向けて歩いて行く。

「ん?あれは、、」

廊下の窓を見ながら歩いていると、偶然もう移動中の彼女が外を歩いているのが見えた。

「やべっ、急がないと。」

そう思った矢先、異変に気がついた。彼女が1人ではなく、周りには柄の悪そうな先輩が、3人ほどいた。俺は嫌な予感がして、自分の部室である化学室へと走った。

「アンモニア!!アンモニア出して!!!」

そういうと、1人の後輩がアンモニアの瓶を持ってきてくれた。

「あと、実験室に何個が置いてある霧吹きを持ってきてくれ!!」

生物担当の部員が不思議そうな様子で霧吹きを手渡してきた。

「ありがとう!」

俺はアンモニアを霧吹きのフラスコに流し込んでいく。

「うわぁぁ!そんなことしたらその霧吹き使えなくなっちゃうじゃないですかー!!!」

「アンモニアも使いすぎだろー!!」

そんなことを言われたが俺の耳には届かなかった。いや、届いたんだけど、、届かなかったことにした。俺には彼女のことしか頭になかったから。

「みんなありがとう!」

そう言って化学室を飛び出すと、体育館裏へと走った。間に合え!何か起こる前に間に合ってくれ!


体育館裏の近くまで来た。いきなり入っていくのは危険だと思い、俺は耳に全集中する。

「やめて、ください…」

「えーいいじゃん一回くらい。」

「い、嫌、です。」

そんなやりとりが聞こえた。俺はすぐさまその場に駆け寄った。

「まぁ無理なら力ずくでやるだけって話d…。」

俺はそいつの顔面にアンモニアを噴射した。話してる途中だったけど、我慢することはできなかった。

バタンっと音を立てて倒れると、こいつの仲間にもアンモニアをお見舞いしてやる。

彼女は何が起こったかまだわかっていない様子であった。

「怖かったね、大丈夫だった?」

「…。」

「もしかして、このために俺を?」

彼女はコクリと頷く。相当怖かったのだろう、目には涙が浮かんでいた。そんな悲しい顔を見せないでくれよ。内心とても心が痛んだ。少しでも元気を取り戻そうと、俺は話を続ける。

「あ、今吹きかけたこれ!アンモニア水溶液って言うんだけど、、!。」

ああ、俺話すの下手すぎ。

「お、俺!科学部だからさ!こうやって活躍するのめっちゃ憧れてて…。」

「ありがとう。」

俺の話は彼女の一言によって遮られた。その声は透き通っていて、綺麗で愛おしくて。話している途中の俺でもしっかり耳に届いた。

「私、この人たちにずっと付き纏われてて、、今日初めて人気のないところに呼ばれたから、変なことさせられるんじゃないかなって思って、朝ぶつかったことをキッカケに君に助けを求めたの。巻き込んじゃってごめんね!!」

そういうことだったのか。俺の僅かに期待していたそれとは違くて、でも彼女のために頑張れた自分が珍しく誇らしかった。

「ううん!君が無事で何よりだよ!」

じゃあね、とこの場を立ち去ろうとすると、

「待って!」

「ん?」

俺は呼び止められた。

「私と付き合ってくれない?」

「…。」

エエエエエエエエ!!!!!!??

マジか、、、消えかけた希望が叶った、?

「私、君のこと、好きになっちゃったみたい、、。」

グフォあっ!!心臓が、締められるような感覚になって、息することもままならなかった。本当に夢のようだ。でも、俺は告白されたことなど今までない。だからどうするべきなのか、俺にはすぐに答えが出せなかった。

「告白してくれてありがとう。でも俺、こうやって好きって言ってもらえることなんてないから、どうしたらいいかわからなくて。だから、もしよかったら考えさせて欲しい!いつになるかわからないけど、絶対君の気持ちは忘れないから!!」

「うん!!」

これが適作であると思った。今の俺には1人の女の子を幸せにする覚悟がなかったのだ。だから、気になる、とか可愛いとか、そう言うことで簡単に付き合うことはしたくなかった。

そして、、一つ忘れてたことがある。

「俺たちお互いの名前知らないよね?」

「あ、そういえばそうだね。」

「俺の名前は、鷹橋勇人。たかはしの鷹は鳥の鷹で勇人ははやと!よろしく!」

「勇人くん!よろしく!!」

勇人くんと呼ばれたことに反応して少し体が跳ねてしまった。

「君は?」

そう聞き返すと、

「金城加奈!きんじょうかなだよ!加奈って呼んで!」

「うん!」

そうだ、金城加奈だ。現役のモデルで、今もその活動でしばしば学校を欠席することがある。学校を欠席するくらいだから結構仕事をもらっているのだろう。

じゃあ、と今度こそこの場を立ち去ろうとすると。

「勇人くん!!」

俺は振り向く。

すると彼女は満面の笑顔で


「大好き!!!」


俺を殺す気か、この子は、、


ここから俺の、はちゃめちゃな青春が始まる。







こんにちは、作者のゆるるです。

やっと物語が展開していきました!続きもお楽しみに!!

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それでは!

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