第19話 新曲は愛の告白に少し赤くなる子の歌

真野アズが加入してからグループの雰囲気が変わり出した。

設定上性別不明なアズとの加入後の初めての新曲は『LOVE ノート』だった。

作詞したのはアズで、作曲したのはラビットボーイだ。

イントロ部分で無二が手でハートを作りながら言う。

『君と紡いだLINEの返信を何度も考えてた。いつもは君との思い出に浸るように、写真を添付してその後は寝落ちするまで語り合うんだけどね。今日はちょっと特別な僕の愛を贈るよ』

歌の節々に僕目線で作ったのには、アズのコンセプトがあった。

アズにとって国光無二はアズと同じように、中性的な子というイメージがあったからだった。

このLOVEノートは国光無二をモチーフにした歌で、少し他のメンバーには合わない感じもあった。

だけど、ラビットボーイも黒羽花鈴もプロなだけあって、歌いこなせていた。

ミュージック・ビデオも少しお金をかけて作られた。

ダンスバージョンは少し激しくそしてちょっとしたエッセンスとして、4人の違ったLOVEが込められていた。

事務所はアズを入れたことで、もっとブルージーニアスが空高く飛び立っていたことに驚き、そして良からぬ事を思いついたのだ。

それが、メンバーの増加だった。

まだアズが入って間もないのに、ブルージーニアスオーディションをしようとしていた。

それを無二は一蹴した。

『まだ、3人制から4人制に慣れていないのに、もう次ですか?私たちみたいな浮いた天才を見つける方が難しいのに、中途半端な奴を入れたら承知しませんよ。加入する子の条件として、突出した才能でありながら、空気なんて読まない存在なら、入れても良いですよ。ただ単に容姿端麗でダンス、歌が出来るだけでは意味ないですから』

事務所は何も言えなくなり、渋々了承したのだった。

アズは無二のグループの事をちゃんと考えている姿を見て、この人にずっとついて行こうと決めた。

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